Zoom Phone(ズームフォン)は、クラウドPBX(クラウド電話システム)の代表的なサービスで、国内でも広く利用されています。米国のZoom Video Communications社が提供するもので、ZoomはWeb会議システムで知られています。豊富な機能だけでなく、外部ツールとの連携も重視しており、電話の受発信業務が多い企業にとって注目のツールとなっています。
Zoom Phoneはインフラの信頼性にも重点を置いており、グローバルに分散されたデータセンターと冗⾧性でどんな時でも安定して使用できるためのインフラストラクチャのキャパシティプランニングを実行しています。感染症が落ち着いた今でも、リモートワークが推進されるなかで、Zoom Phoneを使ってリモート推進を実施している企業は少なくありません。
しかし、業務体系によってはZoom Phoneを使ってのリモートワークができないこともあります。受発信業務で専門的な機能を必要とするコールセンター(コンタクトセンター)が例として挙げられます。
今回は、Zoom Phoneがどのようなシステムなのかを解説し、口コミ・評判も集めてきたので、気になる人は参考にしてください。
目次
Zoom Phone(ズームフォン)の基本情報
運営会社 | Zoom Video Communications社 |
主な目的 | 受電業務の効率化 受電業務の一括管理 |
フィットする電話営業スタイル | SDRインバウンドコール |
主な評価 | 架電数重視のお客様 ★★☆☆☆ 架電の質重視なお客様 ★☆☆☆☆ |
番号発信 | 050番号、0ABJ番号、フリーダイヤル番号(プランによる) |
利用可能回線 | IP回線 |
ズームフォンとは、さまざまな事業規模に向けたクラウド電話システムです。
(クラウドPBXに分類されます)
会議で使用されているZoomとは異なり、以下のような特徴があります。
【ズームフォンの特徴】
- アプリやデスクトップ上で電話やチャットなどを一元管理できる
- 通話データや顧客データを暗号化する
- CRMや別のCTIシステムとの連携が可能
- デバイス問わず電話の発着信ができる
クラウドPBXやCTIを導入していない場合、会社にかかってくる電話は、社内の電話でのみ受けられます。
しかし、Zoom Phoneを導入することで、社内にかかってきた電話を、各従業員のスマートフォンやパソコンに振り分けられます。
さらに、架電する際は、プランにもよりますが会社の番号での発信が可能です。
(例:従業員のスマートフォン、固定電話など)
電話機を導入するよりも、従来あるパソコンやスマートフォンに電話を転送することで、コスト削減にもつながりやすくなります。
料金に関してはプランによって異なり、以下のとおりです。
【Zoom Phoneの料金プラン】
- プロプラン:12,960円/年(1,080円/月)
- 無制限電話プラン:24,200円/年(2,016円/月)
※いずれも1ユーザーあたりかかる料金です
年単位での契約になりますが、月々2,000円程度ということを考えると、一般的な電話業務を効率化できるシステムのなかでは安いほうです。
Zoom Phone(ズームフォン)の口コミ・評判
Zoom Phoneは、知名度が高いサービスであり、導入している企業も少なくありません。
そのため、口コミ・評判が多くありました。
今回は、ITreviewを参考に、よい口コミ・気になる口コミを紹介するので、参考にしてください。
口コミを見ると、実際に導入している人の声が多く、使いやすさや機能面に関することが書かれていました。
よい口コミ・評判
・プランによっては、通話制限が無いのでコストパフォーマンスが非常に良い
・固定機、スマホ等使用媒体を問わないので、柔軟な運用が可能
・Zoom Phoneはクラウドベースとなるため、Web上で簡単にユーザやライセンスの追加が可能であり、ちょっとした設定変更も簡単に実施できる
引用:ITreview(ズームフォンより)
他にも、Zoom Phoneのコスパに関しての言及も多くありました。
アウトバウンド向けCTIでは、多くの場合、基本料金とは別途通話料がかかります。
しかし、Zoom Phoneの場合は、通話無制限プラン(年間24,200円)を契約すると、無制限に通話ができます。
さらに、クラウド上で利用できることについても言及があり、設定変更の気軽さや、使用媒体を問わない使い方ができることから、電話業務をしている人にとってはメリットになります。
全体的に見て、よい口コミが多かったので、信頼できるシステムといえるでしょう。
気になる口コミ・評判
Zoom Phoneは、良い口コミもありましたが、気になる口コミも一部ありました。
合わせて紹介するので、参考にしてください。
・番号プッシュで発信しようとしてHistoryから過去連絡した人に間違えてかけてしまうことが多い
・050から始まる電話番号だと迷惑電話・セールス電話だと思われやすい
・企業の電話業務の効率化や可視化にはいいが、大量の架電業務や受電業務には向いていない
・クラウドなのでやむを得ないことではありますが、まれに音質が悪くなったり、エコーバックが発生するケースがあります
引用:ITreview(ズームフォンより)
参考:国内唯一のCTIツールコムデスク(Comdesk Lead)なら携帯回線とIP回線の併用が可能です。080、090番号での発信が可能なため、担当者への繋がり率、折り返し率が平均で約20%向上します。
このように、UIに関する口コミから、通話品質に関する口コミなどさまざまです。
使用する媒体によっては、クリックtoコールが正しく機能しないという声もありました。
このようなトラブルは、逐一報告して、運営にサポートしてもらうことが大切です。
Zoom Phone(ズームフォン)のおもな特徴
Zoom Phoneには、さまざまな特徴があります。
それぞれ紹介すると、以下のとおりです。
【Zoom Phoneの特徴】
- 利便性が高く使いやすい
- 機能面が充実している
- チャットや通話などボタン一つで切り替えられる
アウトバウンドやインバウンド問わず利用できるクラウドPBXなので、一般的な電話業務を効率化したい人は参考にしてください。
利便性が高く使いやすい
Zoom Phoneは、利便性が高いという声が多くありました。
Zoom Phoneには、ビデオ会議や音声会議でよく使用されるZoomと似た機能が備わっており、ビデオ通話やフォイルの共有、マンツーマンの音声通話なども可能です。
ビデオ通話やファイルの共有、マンツーマンの音声通話なども、Zoom Phoneでは可能です。
さらに、Zoom Phoneには以下の機能が備わっています。
【Zoom Phoneで用意されているもの】
- 顧客管理ポータル
- ダッシュボード
クリックtoコールも可能で、番号をタップ・クリックすると、指定の顧客に架電できます。
通常の電話営業に比べると、番号を入力せずに済むため、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
また、ダッシュボードではさまざまな通話の管理が可能です。UIが最適化されているため、初めての人でも使いやすい仕組みとなっています。
機能面が充実している
機能面が充実していることも、Zoom Phoneの特徴といえるでしょう。
Zoom Phoneを使用するシーンは、おもに電話業務です。
受電・架電の両方に使用できますが、それぞれの業務をサポートできる機能が備わっています。
具体例を挙げると、以下のとおりです。
【Zoom Phoneの主な機能の例】
- 通話の録音機能
- 通話履歴の確認
- スケジュールの設定
- 不在時の対応の設定
料金は月換算で2,000円程度で、かけ放題プランが利用できます。
使用できるデバイスは問わず、パソコンでも利用できますし、スマートフォンからでも対応可能です。
そのため、Zoom Phoneはテレワークで使用するシーンが多くあります。
会社にかかってきた電話を、スマートフォンやパソコンで受けられるだけではなく、電話をかける際も会社の番号からかけられます。
チャットや通話などボタン一つで切り替えられる
Zoom Phoneでは、通常のZoomのような使い方も可能です。チャット・通話・グループ通話が使用できますが、業務別で使い分けができます。
例えば、軽い業務連絡をする際はチャットをして、部下や上司に直接連絡したい場合は通話をします。チームで資料を共有しながら会議を開きたい場合は、グループ通話が可能です。
Zoomと変わらないクオリティを、ズームフォンでは利用できるわけです。すべての作業がボタンを押すだけで完了することは、UIを意識した取り組みといえるでしょう。
■合わせてよく読まれている資料
「アウトバウンドコールシステム比較6選」も合わせてダウンロードいただけます。
Zoom Phone(ズームフォン)を利用するメリット
Zoom Phone(ズームフォン)を利用するメリットを解説します。メリットは主に6つあります。
- 場所に限らず電話応対ができる
- クラウドベースの仕組み
- 柔軟なデバイス対応
- 0ABJ番号が利用できる
- オールインワンコミュニケーションプラットフォーム
- 柔軟なオプション
場所に限らず電話応対ができる
Zoom Phoneの特長の一つとして、「場所に限らず電話応対ができる」という利点があります。これは、クラウドベースの仕組みと柔軟なデバイス対応によるものです。Web上で簡単にユーザーやライセンスの追加が可能であり、ちょっとした設定変更も簡単に実施できます。
クラウドベースの仕組み
Zoom Phoneはクラウドベースの通信サービスです。これにより、物理的なオフィスや場所に依存することなく、インターネット経由で通話や電話応対が可能です。従って、世界中のどんな場所からでもアクセスできます。
クラウドなのでやむを得ないことではありますが、ネット環境によっては、音質が悪くなったり、エコーバックが発生するケースがあります。また、技術的な問題についてサポートに問い合わせた際、上位エンジニアへのエスカレーションに少し時間がかかることがあるようです。
柔軟なデバイス対応
Zoom Phoneは様々なデバイスで利用できます。デスクトップコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレットなど、利用者が好みや状況に応じて異なるデバイスを使うことができます。これにより、オフィス内だけでなく、自宅や移動中など、どんな場所でも電話応対が可能です。
0ABJ番号が利用できる
Zoom Phoneは、2022 年 6 月 29 日より、固定電話で使用されている 10 桁の地域固定電話番号「0ABJ」をネイティブで利用できるようになったと公式サイトでリリースしています。
オールインワンコミュニケーションプラットフォーム
Zoom Phoneはビデオ通話との統合が強力であり、音声通話から簡単にビデオ通話に切り替えることができます。これにより、柔軟で効果的なコミュニケーションが可能です。
柔軟なオプション
Zoom Phoneはクラウドベースのサービスであるため、場所を選ばず利用できます。また、オプションとして通話録音や自動応答、転送など、ビジネスに必要な機能が豊富に提供されています。
しかし、メリットだけではなく不得意な点もあります。Zoom Phoneは、元々は企業向けのビジネスコミュニケーションツールであり、コンタクトセンター(コールセンター)向けの大量架電や受電を始めとする専門的な機能やスケーラビリティを提供することは得意ではないです。
Zoom Phone(ズームフォン)でできないこと
一方、Zoom Phone(ズームフォン)でできないこともあります。3つ具体例を挙げます。
- 大規模な通話処理
- リスト管理
- 通話ルーティングの高度な管理
大規模な通話処理
大量の通話が発生するコンタクトセンター(コールセンター)では、高いスケーラビリティが求められます。Zoom Phoneはこれに対応するようにはデザインされていません。
リスト管理
リスト管理機能は、通常、営業やテレマーケティングのプロセスで利用され、顧客リストやリードリストを管理して効果的なコミュニケーションやセールス活動をサポートします。これには、リードの追跡、優先順位付け、架電スケジュール(オートコール、プレディクティブコールなど)の設定などが含まれますが、Zoom Phoneの主要な機能ではありません。
もしリスト管理が必要な場合、営業支援ツールやCRM(Customer Relationship Management)ソフトウェアと連携する拡張機能の確認をお勧めします。
通話ルーティングの高度な管理
コンタクトセンターでは通話データを詳細に記録し、分析する機能が重要ですが、これに特化した機能が欠けている可能性があります。
まとめ
Zoom Phoneの主な利点は、ビデオ通話や企業内コミュニケーションを円滑に行うためのものであり、本格的なコンタクトセンター(コールセンター)機能が必要な場合は、Zoom Phone以外のコンタクトセンターソリューションを検討することが適切かもしれません。コストだけで考えるのではなく、運用の目的や組織形態などから適切なツールを選択することが良いでしょう。
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