一般的に「マネジメント」とは、「経営管理」「組織運営」を指します。
コンタクトセンター(コールセンター)のマネージャーやSV(スーパーバイザー)は、コンタクトセンター全体の管理と運営に携わる重要な役割を果たしています。彼らは、オペレーターの管理や育成を担当し、コンタクトセンターが効率良く運営できるよう、顧客サービスの品質向上や生産性の向上を目指しています。
そのような重要な役割を担うマネージャー・SVの方々は当然日々の業務量も多いため、いかに業務を効率化するかはとても重要な経営課題です。
上図)昨今の、働き方改革法案に企業の働き方改革をはじめ高齢化が進む日本においては業務のAI化(自動化)やAIとの共創から創出する価値提供はますます重要になってきています。
目次
コールセンターのマネジメントとは何か
コールセンターのマネジメントは、コンタクトセンター(コールセンター)業務全般を効果的に遂行するための様々な戦略を策定・実行することを指します。
コールセンターの成果を上げるためにヒト・モノ・カネといった経営資源を有効活用し、リスク管理をしながら「目標」や「ミッション」の達成を目指します。
コールセンターでマネジメントを行う役職
通常、コールセンターにおいてマネジメントを担っている役職は、以下の3つです。
・センター長
・マネージャー
・スーパーバイザー(SV)
上図)一般的なコールセンター(コンタクトセンター)における組織概念図
【コールセンターでマネジメント業務を行う職種の各役割の例】
センター長の役割
AIの導入や雇用の難しさ、外部環境の大きな変化と共に、センター長の役割も変遷しつつあります。
「アポイント数」「顧客満足度」「対応数」などのような従来用いられる指標でコールセンターの価値を示すのではなく、「顧客が望む課題解決をスムーズに行い、エフォートレスな顧客体験の創出を推進する。」「蓄積したVOC(顧客の声)を自社のみならず、クライアントの経営課題に活かす。」「在庫予測データと連動し、電話で第二、三次のサプライチェーンと繋ぐ仕組を構築する。」など、データを活用した高度な役割が求められるようになっています。
※エフォートレスな体験:商品やサービス利用時のお客様のストレスを最小限にし、快適に利用できること
従来のマネジメント手法では、現場は人手不足に苦しみ、顧客や経営からの期待に十分に応えられず、評価が低下している状況です。
センター運営には、マネージャーやSVとの連携や、よりイノベーティブ・クリエイティブな発想が求められます。
マネージャーの役割
センター長の下で組織の支え役として活動するのが「マネージャー」です。
コールセンターの中核である「運営管理部門」のトップである、「オペレーションマネージャー」として機能することもあります。主にオペレーター全体の管理や指導を担当します。
マネージャーとSV(スーパーバイザー)は業務内容がしばしば類似しているとされますが、SVはオペレーターの管理を通じてコールセンターの運営を円滑に進めるのに対して、マネージャーはSVの管理やコールセンター全体の統括を担当し、品質・生産性・収益性向上を目指します。
SVの役割
運営管理部門は複数のチームに分かれており、各チームを統括するのが「SV(スーパーバイザー)」です。実際のところ、コールセンターにおいて、実践的なマネジメント業務はこのSVが主導しています。
具体的には、オペレーターの育成や管理、日々の応対品質のモニタリング、オペレーターが対処できなかったクレームへの二次対応、さらには架電内容の分析から架電先のリスト作成まで、これらの業務は広範にわたります。
通常、現場のマネジメント業務は主にSVが中心になって行われることが多いため、この記事では次章以降、特にAIの活用範囲とAIとの協力による価値提供に焦点を当て、「マネージャー・SVの業務内容」を詳しく説明していきます。
■合わせてよく読まれている資料
「コールセンターでのAI活用法」も合わせてダウンロードいただけます。
AIを活用すべき業務と、人が介在する価値を発揮する業務の棲み分け
AIサービスをとにかく導入して自動化を推進したいという企業も多いと思います。
ただ業務の中の一部を切り出した内容に利用できるAIサービスだと、業務フローに追加して利用する必要があり、実運用まで至らないケースが多く見られます。
ITシステム導入に関して5人中4人が導入に留まっているという調査データもあります。 活用に至らない理由の一つとして、DXのために業務フローを考慮していないAI導入が多く行われており、使用すると余計に時間がかかってしまったり、工数が増えたり、フローが複雑になるということがあります。
運営の要となるマネージャー・SVの業務内容・フローをしっかり理解しておきましょう。
マネージャー・SVの業務内容と要点
コールセンターのマネージャー・SVの業務はインバウンドコール中心か、アウトバウンドコール中心か、またハイブリッドスタイルなど、取り扱う商材やサービスによっても様々です。
【コールセンターのマネージャー・SVの業務例】
- スタッフマネジメント
- 問題解決とエスカレーション
- データ分析とレポート作成
- プロセス改善と効率化
- チーム間の連携と情報共有
- リスト作成
スタッフマネジメント
オペレーターの指導・管理を行うことが主な業務の一つです。オペレーターのスケジュール管理、勤怠管理、パフォーマンス評価、教育のためのフィードバックの提供などが含まれます。
【ポイント】オペレーターの活動状況を定量的に把握し、適切なフィードバックを行うこと、また効率的に業務推進するためのスケジュールを組むことも必要です。
問題解決とエスカレーション
コールセンターで発生する問題やトラブルに対して、SVは迅速かつ適切に対処する責任があります。問題の原因の特定、最適な解決策の提案、必要な場合は上位の管理職や他部署へのエスカレーションなどが含まれます。
【ポイント】問題解決のための調査や連絡、またクライアントへの報告書の作成なども発生します。そのために客観的事実を把握し、正確に各関係者へ連携することが必要とされます。
データ分析とレポート作成
コールセンターの業績やKPI(重要業績評価指標)の分析と報告を行います。クライアントがいる場合には、クライアントが求める形式での報告書作成なども必要です。
【ポイント】オペレーターが効率よく成果を出すための土台作りとして架電結果からデータを分析し、課題の発見や改善策の提案・実行していくことが必要です。オペレーターの稼働状況を含めたデータの収集と分析をレポーティングすることも求められます。
プロセス改善と効率化
コールセンターの業務プロセスを見直し、効率化や改善を行う責任があります。システム導入や新たなツールの検討、業務フローの改善、トレーニングプログラムの開発などが含まれます。
【ポイント】プロセス改善には、そもそも現状のボトルネックはどこにあるのかを定量データを元に分析する必要があります。分析した上で、効率化のための施策や提案を作成していく必要があります。
チーム間の連携と情報共有
他部署や管理監督者などとの連携を図り、コールセンターの運営に必要な情報の共有や調整を行います。
【ポイント】コールセンターとして効率よく稼働できるようにするために様々な部署との連携や経営層への報告なども必要になります。会議や報告書の作成において、日々のデータを活用し経営指標となるものを示していくことが求められることもあります。
リスト作成
アウトバウンドを行なっているコールセンターでは、各オペレーターが業務開始からすぐに電話業務に取り掛かれるようSVがリストを作成しておく必要があります。オペレーターが掛け先を迷わず電話できるようリスト配布していきます。
【ポイント】顧客のニーズや特性をデータから把握し、適切なリスト作成が必要になります。リストの質によってオペレーターのパフォーマンスが変わってくるため、リアルタイムでも定量データを確認しながら必要に応じてリストのターゲティングを調整する必要があるでしょう。
以上が一般的なマネージャーやSVの業務内容と要点になります。ただし、企業やコールセンターによっては、業務の内容や時間配分が異なる場合があります。具体的なマネージャー・SVの業務については、ご所属の企業やコールセンターのルールやポリシーに基づいて確認することをおすすめします。
関連記事:脱エクセルでテレアポ業務を効率化!アウトバウンド型CTI比較早見表
ポイントは定量データと定性データ
【定量データは現場のトランザクションから】
業務を効率良く回し、成果を向上していくためには定量データを正しく収集し、分析することが必要不可欠です。コールセンターにおける定量データと呼ばれるものは様々なものがありますが、 基本であり大切なものとしては
- 架電数
- 応答数
- 通話時間
- 後処理時間
などが挙げられます。稼働率などその他の指標は、上記の数字が正しく取れていれば算出できます。
標準化されたフレームワークにより、業務の消費時間を測定し、コスト・データを分析する。これらの情報は、自社内外のパフォーマンス・データ(業務の成果など)とともに重要な経営情報を抽出するために不可欠です。
定性データを掛け合わせることで品質も、オペレーターのモチベーションも大きく変わる
定量データは必須ですが、定性データも重要になります。 例えば、先述したポイントのデータが基準値を超えていなかったとしてもお客様から評価されているということも起こりえます。また数字上では問題ないように見えてもクレームを受け取ってしまうということもあるでしょう。
通話時のテンションや回答の丁寧さなどは、数字だけでは見えてこない時もあります。
そんな時に簡単に音声データにアクセスして、リアルな活動に触れ、定性的な側面からも評価をすることで応対品質やオペレーターのモチベーションにも大きく影響を与えることができるでしょう。
定性データを大切にすると時間がかかる
しかしながら、定性データも大切にするとなると振り返りやリサーチに膨大な時間がかかります。コールセンターの規模が大きくなればなるほど1日の架電量、通話時間は膨大になり、全てをチェックするということは到底できません。 また定性データにも触れるためには定量データをいかに簡単に扱うことができるか、それ以外の業務効率を上げて時間を削減するか、ということがとても重要になってきます。
また確認したい定性データにピンポイントでアクセスできる環境を整えることも大切になるでしょう。
人が時間をかけるべきところに時間をかけ、そうでない部分を簡略化するには
先述の内容からデータ集計や活動状況・結果の可視化など定量データに関する集約をいかにAIを活用して簡易的に素早くアクセスできるようにするかということが大切です。
逆に、定性データに触れる部分やオペレーターへのフィードバックを含むコミュニケーションに関しては人が時間をかけることで、より良いコールセンター運営につながるはずです。
その際に大事なことは、業務フローにAIを組み込み、これまでのオペレーションと大きな変化なくAIを活用できるようにすること。
AIを単体でプラスアルファで利用しようとすると、自身の業務フローに合っておらず、出来ることと出来ないことが煩雑になってしまい、結局手間がかかってしまうということは多々見かけます。
業務フローに合うAIシステムを活用したり、既存のサービスにAI機能が搭載されているものを利用して簡易的に素早く欲しいデータを集約できるようにすることが望ましいです。
関連記事:【ChatGPT特集】ChatGPT-4oとは?業務活用事例特集!海の向こうから国内まで
まとめ
この記事では、コールセンターのマネージャーやSV(スーパーバイザー)が請け負う業務であるスタッフマネジメント、データ分析とレポート作成、プロセス改善等には、定量データ(架電数や通話時間など)と定性データ(オペレーターの通話時の丁寧さなど)両方の組み合わせが極めて重要であることを紹介しました。
また、前者の定量データの収集や分析においてはAIを活用し、人が時間をかけるべき部分とそうでない部分を適切に分担することが業務効率化に繋がることを強調しました。
このように、コールセンターでのマネジメント業務における大量のデータ対応にお困りの方は、業務フローに適したシステムやAI搭載のツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
参考:
ITシステム導入企業の活用状況に関する実態調査(株式会社コムデザイン,2023)
業務の可視化(トランザクション測定・分析)による研究マネジメント様式の実証研究(*仙石 慎太郎, 注連 隆夫, 國枝 和雄, 山田 敬嗣, 末松 千尋,2008)
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