デジタル技術が日常に浸透し、顧客の購買行動も多様化する中で、企業は新たなマーケティング手法を模索しています。そんな現代において、顧客との接点を強化し、効果的な施策を実施するための「デジタルマーケティング」は不可欠な存在です。
そこで、本記事では以下の内容について解説します。
- デジタルマーケティングの定義や特徴
- webマーケティングとの違い
- 成功のための具体的な手法やポイント
情報の一元管理や顧客データの活用方法にも触れ、企業がデジタル時代のマーケティングにどのように対応すべきかを解説していきます。
目次
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは何かについて、以下の3つの切り口から解説します。
定義
デジタルマーケティングとは、幅広いデジタル技術を活用して顧客にリーチし、マーケティング活動を展開する手法を指します。従来の広告やマーケティングとは異なり、インターネットやアプリ、デジタルデバイスを介して顧客と直接つながることができ、より効果的にターゲット層へのアプローチが可能です。デジタルマーケティングに含まれる技術やツールには、以下が挙げられます
- webサイト
- SNS
- アプリケーション
- IoT
- デジタル
デジタルマーケティングの特徴
デジタルマーケティングの特徴は以下の3つです。
- オンライン/オフラインの境界をなくす
- 顧客接点が多様化/複雑化する
- 膨大なデータがあらゆる顧客接点から得られる
オンライン/オフラインの境界をなくす
デジタルマーケティングでは、オンラインとオフラインの接点がシームレスにつながります。例えば、ユーザーが店舗で商品を見た後に、SNSやWebサイト上で再度関連する広告を目にすることで、統合された顧客体験が提供されます。
顧客接点が多様化/複雑化する
WebサイトやSNS、モバイルアプリだけでなく、IoTデバイスやチャットボット、インターネット検索など、あらゆるデジタル接点で顧客にアプローチできます。この多様な接点を通して、より広範囲で複雑な顧客体験が提供され、関係性を深めやすくなります。
膨大なデータがあらゆる顧客接点から得られる
デジタルマーケティングでは、各顧客接点からデータを収集しやすくなり、アクセス数や閲覧履歴、クリック率、購買履歴など、顧客の多様な行動データが得られます。これにより、ユーザーごとの行動や関心に基づいたパーソナライズ戦略を立てることができ、最適なマーケティング施策を提供することが可能です。
デジタルマーケティングとwebマーケティングとの違い
デジタルマーケティングとwebマーケティングは主に以下の3つの観点から異なります。
顧客接点
Webマーケティングは、主にWebサイトやインターネット広告などオンラインでの接点に限られるのに対して、デジタルマーケティングは、アプリやIoTデバイス、リアルタイムのロケーション情報を用いた広告など、オンライン/オフライン両方のデジタル接点を活用します。
得られる顧客情報の質
Webマーケティングでは、特定のページでのユーザーの動きやクリック数など表面的なデータを得ることが中心です。一方、デジタルマーケティングは、Webサイト以外の接点も含め、より多角的なデータが収集できるため、顧客の特性やニーズをより深く理解できます。
得られる顧客情報の量
Webマーケティングに比べ、デジタルマーケティングは多くの接点から情報を取得するため、データ量が非常に多くなります。この膨大なデータを分析することで、より精緻な顧客セグメンテーションやパーソナライズが可能になります。
デジタルマーケティングが重要になった背景
- 顧客の購買プロセスが複雑化しているから
- デジタル技術が多様化しているから
顧客の購買プロセスが複雑化しているから
従来、顧客は店頭や広告を通じて製品情報を知り、販売店で購入するという単純な購買プロセスを辿っていました。しかし、デジタル技術が発展するにつれて、顧客が情報を収集・比較・購入するプロセスは複雑化しています。今日の顧客は、製品に関する情報を調べる際、Web検索やSNS、口コミサイト、YouTubeなどさまざまなメディアを活用し、他の消費者の意見を確認することも一般的です。これにより、顧客が購入を決断するまでのプロセスは多段階にわたるようになり、デジタル上でのあらゆるタッチポイントでの接点が、購買の決定に大きな影響を及ぼすようになりました。
さらに、顧客はインターネット上で複数のブランドや製品を容易に比較できるため、従来のように一つのブランドだけに拘ることなく、より良い条件や評判を求めて情報を収集し続けます。これにより、企業は顧客の購買プロセスのさまざまな段階に対して、適切なタイミングと方法でアプローチしなければならなくなりました。ここで、デジタルマーケティングは、顧客の購買行動や関心に基づいてパーソナライズされた情報提供を行う手段として、企業の戦略に不可欠な役割を果たしています。
デジタル技術が多様化しているから
デジタル技術の急速な進化に伴い、顧客とのコミュニケーション手段も多様化しました。インターネットが普及した初期の頃、企業が顧客にリーチする主な方法はWebサイトやメールマーケティングが中心でしたが、今ではSNS、モバイルアプリ、オンライン広告、チャットボット、そしてIoTデバイスを含む多様なチャネルが存在します。これにより、企業は顧客の生活のさまざまなシーンで接点を持つことが可能となり、より効果的なマーケティング活動が展開できるようになりました。
特にスマートフォンの普及によって、顧客はいつでもどこでも情報を得られるようになり、マーケティング活動も24時間体制で展開することが求められるようになっています。また、AIやビッグデータ解析の技術が進化したことで、膨大なデータから顧客の関心や購買パターンを予測し、それに基づいたパーソナライズ戦略を立案することが可能となりました。これらのデジタル技術の多様化が進む中で、デジタルマーケティングは企業のマーケティング活動において中心的な役割を果たし、顧客との関係性を強化するための重要な手法として注目されています。
デジタルマーケティングの主な手法
デジタルマーケティングの主な手法を紹介します。デジタルマーケティングの手法は大きく3つに分類されます。
web/SNSマーケティング
WebサイトやSNSを通じて顧客に情報を届け、興味を喚起し、顧客との関係を深めるためのマーケティング手法です。ユーザーが日常的に利用するインターネット上のさまざまなチャネルを活用し、幅広いターゲット層にアプローチできます。具体的には以下の5つがあります。
- SEO(検索エンジン最適化)
- コンテンツマーケティング
- リスティング広告
- SNS広告
- インフルエンサーマーケティング
SEO(検索エンジン最適化)
検索エンジンでの検索結果において上位に表示されるよう、Webページの内容や構造を最適化します。
コンテンツマーケティング
顧客に価値のあるコンテンツ(ブログ、記事、ホワイトペーパー、動画など)を提供し、興味を引きながらリードを獲得します。
リスティング広告
検索結果ページに広告を表示することで、ユーザーの検索意図に合わせた直接的なアプローチを実現します。
SNS広告
InstagramやFacebook、X(旧Twitter)など、ユーザーが多いSNSプラットフォーム上でターゲット層に広告を配信します。
インフルエンサーマーケティング
影響力のあるインフルエンサーを通じて商品やサービスを紹介し、信頼性のある推薦を通じてユーザーの関心を引きます。
デジタルサイネージ
公共の場や店舗で設置されるデジタルディスプレイを利用して、広告やブランドメッセージを視覚的に訴求する手法です。リアルタイムでメッセージを更新でき、視覚と動きで注目を引きます。主なものは以下の4つです。
- インタラクティブサイネージ
- 位置情報ターゲティング
- 動的コンテンツ更新
- 店舗内サイネージ
インタラクティブサイネージ
タッチパネルを活用し、ユーザーがディスプレイと直接やり取りしながら情報を取得できます。
位置情報ターゲティング
人通りの多い場所やターゲット層が集まりやすい場所にデジタルサイネージを設置し、地域に密着した広告を提供します。
動的コンテンツ更新
時刻や天候、イベントに合わせて広告内容をリアルタイムで変更し、シチュエーションに適したメッセージを発信します。
店舗内サイネージ
小売店や飲食店で商品のプロモーションや新製品情報、メニュー紹介など、購買意欲を高めるような情報を表示します。
IoT
IoT(Internet of Things)技術を活用して、顧客のデバイスやセンサーを通じてリアルタイムでデータを収集・活用するマーケティング手法です。顧客の行動や環境に応じたパーソナライズされたメッセージの提供が可能になります。主なIoTは以下の4つです。
- スマートスピーカー
- ウェアラブルデバイスデータ活用
- ビーコン技術による店舗内通知
- コネクテッドカー広告
スマートスピーカー
音声アシスタントを通じてプロモーションを行い、ユーザーの声や指示に応じて商品やサービスを推奨します。
ウェアラブルデバイスデータ活用
フィットネストラッカーなど、ユーザーが身につけるデバイスから健康データを取得し、関連商品や健康情報を提供します。
ビーコン技術による店舗内通知
顧客が店舗に近づいたり、特定の売り場に近づいたりした際に、クーポンやセール情報をスマートフォンに通知します。
コネクテッドカー広告
車載IoT技術を活用し、ドライバーの位置情報や走行情報に基づいて、近隣の店舗やガソリンスタンドの情報を提供します。
デジタルマーケティング実施のポイント
デジタルマーケティング実施におけるポイントを解説します。主に3つあります。
- KGIやKPIを設定し効果測定を行う
- カスタマージャーニーやペルソナを設定する
- 顧客情報を一元管理する
KGIやKPIを設定し効果測定を行う
デジタルマーケティングを成功させるためには、明確な目標とその進捗を測る指標を設定することが不可欠です。まず、最終的なゴールを示すKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を設定します。KGIには、売上目標、リードの獲得数、新規顧客の数などが含まれます。そして、そのKGIを達成するための中間指標として、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定します。
例えば、KGIが「月間100件の新規顧客獲得」であれば、KPIとして「Webサイト訪問数」「リード獲得数」「メール開封率」などを設定し、日々の活動が最終目標に向かっているかを測定します。
KPIをもとにマーケティング活動の効果を数値化し、定期的にレビューを行うことで、戦略の改善がしやすくなります。例えば、SNS広告のクリック率や、メールマーケティングの開封率・クリック率など、各施策の細かい指標を監視します。こうしたKGI/KPIの設定と効果測定により、成果が上がりやすい施策に予算やリソースを集中的に投資することが可能となります。
カスタマージャーニーやペルソナを設定する
顧客の購買行動や意識を把握するためには、まずペルソナとカスタマージャーニーを明確に設定します。ペルソナとは、ターゲットとする顧客像を具体的な一人の人物として描き出したものです。たとえば、性別、年齢、職業、趣味、ライフスタイル、課題やニーズなど、細かい情報を盛り込むことで、「誰に向けてマーケティングを行うか」がより明確になります。
ペルソナができたら、次にその顧客が商品を知り、関心を持ち、最終的に購入に至るまでの流れを描いたカスタマージャーニーを作成します。例えば、最初にSNS広告で製品を認知し、次にWebサイトで詳細を確認し、レビューサイトで口コミを調べた後、オンラインストアで購入するという一連の流れを可視化します。
このプロセスを描くことで、各段階における顧客の心理状態や課題が明らかになり、効果的なアプローチが可能になります。カスタマージャーニーに基づいて施策を立案することで、適切なタイミングでターゲットに合わせたメッセージを届けることが可能になります。
顧客情報を一元管理する
デジタルマーケティングでは、複数のチャネルやデバイスで顧客と接点を持つため、顧客情報が分散しやすくなります。そのため、顧客データを一元管理する仕組みを導入し、顧客の行動や関心、過去の購入履歴などを一括で把握できるようにします。
データを一元管理することで、より精緻な顧客分析やセグメンテーションが行えるため、個々のニーズに合わせた適切なマーケティング活動が実施できます。
顧客情報の一元化でデジタルマーケティングを成功させる方法
顧客接点のプロセスを可視化
顧客情報を一元化するためには、まず、顧客がどのような経路で企業やブランドと接触しているのかを理解する必要があります。これには、顧客が最初に興味を持つ段階から、購入やサービス利用、そしてその後のフォローアップまでの顧客接点をプロセスとして可視化することが必要です。
各タッチポイントでどのような情報が得られるか、また、どの段階で顧客の行動や感情が変化するかを可視化することで、適切なデータの取得が可能になります。例えば、「SNS広告からWebサイト訪問」「Webサイトから問い合わせ」「フォローアップメールから再購入」という一連の流れを明確にすることで、データが必要な接点やタイミングを把握でき、効率的な情報の一元化に役立ちます。
各プロセスから抽出できる顧客情報を洗い出す
顧客接点のプロセスが可視化されたら、次に各プロセスからどのような顧客情報が取得できるかを洗い出すことが必要です。これにより、重要な情報を漏らさず収集し、効果的な一元化を進められます。
たとえば、Webサイト訪問時には「訪問頻度」「滞在時間」、SNS上では「フォロワーの属性」「投稿の反応」、メールでは「開封率」「リンクのクリック率」などが得られます。こうした情報を洗い出すことで、一元化する対象のデータが明確になります。また、顧客の意図や行動をより深く理解し、データ活用の目的や戦略にも基づいた情報の収集が可能になります。
顧客情報を集約できるツールを選定/導入する
次に、集めたデータを統合するために顧客情報を集約できるツールの選定と導入が必要です。ツールを導入することで、分散していた顧客情報を統合管理でき、マーケティング戦略の一貫性が向上します。
多くの企業ではCRMやCDPの導入が一般的で、CRMでは顧客の基本情報や購入履歴、サポートのやり取りを管理しやすくなります。CDPを利用する場合、複数のチャネルで得たデータをリアルタイムで統合でき、顧客の行動データをもとにパーソナライズしたマーケティング施策を迅速に展開できます。ツール選定の際には、自社が管理したい情報の種類や活用方法に合ったシステムを選ぶことが重要です。
これらのツールを導入することで、顧客データが適切に集約され、部門間でのデータ共有がスムーズになります。データの一元化により、顧客ごとに最適なマーケティング活動を計画・実施できる体制が整います。
■CRMについて詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
【2024年最新】おすすめの顧客管理(CRM)アプリ13選と選び方を徹底解説!
集約した情報を分析し、示唆出し
集約した顧客情報をもとに、具体的な分析を行い、データから示唆を抽出することで、デジタルマーケティングの戦略を強化します。集めたデータを詳細に分析することで、顧客のニーズや行動パターンを把握し、今後の施策に反映させることができます。
例えば、購買頻度が高い顧客の特徴や、特定の広告からのコンバージョン率が高いターゲット層を特定することができれば、今後の広告配信に役立ちます。また、特定のSNSプラットフォームでのエンゲージメント率が高ければ、そのチャネルでのコンテンツ強化が効果的であると判断できます。分析の結果に基づき、ターゲット顧客に対してよりパーソナライズされたメッセージやオファーを提供し、マーケティング活動の効果を最大化します。
さらに、データの可視化ツールを使ってダッシュボードを作成することで、リアルタイムでのデータモニタリングが可能になります。結果に基づいて即時にマーケティング活動を調整することで、迅速に改善策を講じ、デジタルマーケティングをより効果的に展開することができます。
CRMと連携できるCTI(Comdesk)
インサイドセールスからフィールドセールスまで同じ情報で顧客対応が実現し、集客~アポイント取得〜追客~商談〜成約〜契約フォローまでのコミュニケーションを一気通貫で管理可能になります。
コミュニケーションログの取得も可能で、とりわけ電話でのコミュニケーションはBlack boxになりがちですが、全通話自動録音で全ての録音データや自動要約された内容がCRMの該当するオブジェクトへ全自動で記録されます。
まとめ
デジタルマーケティングは、企業が顧客と多様なチャネルで接点を持ち、最適なタイミングで効果的な施策を実行するための強力な手段です。重要なのは、KPIやKGIの設定、カスタマージャーニーの理解、データの一元化による顧客理解の深度を高めることです。これらの取り組みを通じて、企業はデータからの示唆を活かし、パーソナライズされたアプローチで顧客に響くマーケティング活動が可能になります。
デジタル技術を巧みに活用し、戦略的なデジタルマーケティングを展開することで、ビジネスの成長と顧客満足の向上を実現できるでしょう。
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