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2024.12.10
CRM連携

CRMとCTI連携でよくある課題とデータエンジニアリング的解決策

#CRM連携

はじめに

CRM(顧客管理システム)とCTI(電話システム)の連携は、営業活動の効率化や顧客対応の質を向上させるために不可欠です。しかし、これらのシステムを統合する際には、データ整合性の確保や技術的な調整が必要です。本記事では、データエンジニアがどのようにしてこれらの課題を解決し、システムを最適化するかについて特にCRMとCTIの連携を検討している中小企業の経営者やIT部門の担当者向けに解説します。

CRMの外部連携方法

CRMを外部システムと連携させる方法には主に3つがあります。

データ連携

データ連携は、例えば、Salesforceと他社製品のデータを統合する方法です。Salesforceに入力したデータが外部連携したシステムにも自動で転記されるようになります(逆の場合も同様です)。

これにより、全社に点在するさまざまなデータを統合し、分析や活用にかかる時間と労力を削減できます。

ファイルの入出力

データ連携が直接できないシステム同士でも、ファイルを通じて連携させることが可能です。例えば、SalesforceのデータをCSVやExcelファイルとして出力し、外部システムにインポートすることでデータ連携を実現します。逆に外部システムからSalesforceにデータを取り込む場合も同様です。

メリット:

  • システム間の互換性を確保する簡単な方法。
  • 既存のシステムに影響を与えずにデータ連携を行える。

デメリット:

使用するファイル形式(CSVやExcelなど)が両システムに対応していなければならない。
データ型や項目名などの一致がシームレスな連携に不可欠です。
リアルタイムでのデータ更新はできない。
手動でのファイルの取り込みや出力作業が発生し、手間がかかる。

などが挙げられます。

API連携

API連携は、異なるシステム間でデータをリアルタイムに連携させるための強力な手段です。API(Application Programming Interface)は、アプリケーション同士を接続し、データや機能を交換するためのインターフェースです。Salesforceと他社製品がAPIを介して連携することで、データの同期や情報の取得をリアルタイムで行うことができます。

メリット:

  • リアルタイムでのデータ連携が可能。
  • 手動での介入を最小限に抑え、効率的な運用ができる。
  • 柔軟に機能を拡張でき、外部サービスとの連携にも対応。

デメリット:

APIの使用にあたり、両システムがAPI対応している必要がある。
実装には技術的な知識が必要で、初期設定に時間やコストがかかる場合がある。
データの持ち方や構造などに注意する必要がある。

などが挙げられます。

よくある発着信時に生じる課題と解決策

発信時の課題と解決策

課題問題点解決策実践方法
データマッピングの誤設定発信時にCTIシステムからCRMに送られる通話ログや活動履歴が、適切なレコードに紐づかないことがある。発信履歴とCRM内の「リード」「商談」「取引先責任者」などを正しくマッピングする。データフローの可視化と即時修正の仕組みを構築する。– 発信ログをCRM内の対象項目にマッピングするためのツールやフローを利用。
– エラー検出および修正プロセスを自動化。
紐づけ先の優先順位が不明確発信時に「リード」「商談」「取引先」「取引先責任者」のどのレコードに活動履歴を紐づけるかが明確でない場合、記録が分散される可能性がある。業務要件に基づき優先順位を明確化(例:「取引先責任者」>「商談」>「取引先」>「リード」)。– Salesforceのフローやプロセスビルダーを利用して条件分岐を設定。
– Apexトリガーで一意のデータ紐づけロジックを構築。
電話番号の一意性管理同じ電話番号が複数のレコードに登録されている場合、どのレコードに活動履歴を紐づけるかが不明確。発信時には、最も関連性の高いレコード(例:「取引先責任者」)を優先して紐づけるロジックを設定。– 電話番号をキーに最適なレコードを自動検索する機能をApexで構築。
– 一致するレコードが複数の場合、ユーザーが選択できるポップアップUIを提供。
発信履歴の手動紐づけが煩雑自動で紐づかなかった発信履歴を手動で紐づける際、UIが複雑で時間がかかる場合がある。活動履歴の紐づけ操作を簡単化し、必要な情報を検索・紐づけしやすいUIを設計。– Salesforceのレコード詳細画面で関連先の検索機能を強化。
– 活動履歴編集時に候補を自動表示する補助機能を追加。
架電ツールとCRMの連携不具合架電ツール(CTIシステム)とCRMのデータ同期が不完全で、活動履歴が正しく記録されない場合がある。架電ツールのAPIを見直し、CRMとの双方向同期が正常に動作するか検証・修正。– APIのテストツールでデータ送受信の検証。
– 架電ツールのログを監視し、同期エラー時に通知を受け取るシステムを構築。

着信時の課題と解決策

課題問題点解決策実践方法
表示対象のオブジェクトの曖昧さ着信時にどのオブジェクト(「リード」「取引先」「取引先責任者」「商談」など)から情報を引き出すかのロジックが曖昧。優先順位を明確化(例:「取引先責任者」>「商談」>「取引先」>「リード」)。これに基づき情報を表示する。– Salesforceのロジック構築機能(フローやプロセスビルダー)で優先順位を設定。
– ユーザー要件に基づいたApexトリガーの設計。
複数一致するレコードの処理着信時に同じ電話番号が複数のオブジェクトに登録されている場合、どの情報を表示するかが不明確で、適切なレコードに紐づかないことがある。一致するレコードが複数の場合、ユーザーが選択できるポップアップを表示し、適切なレコードを選択できる仕組みを導入。– 着信時に該当レコードを一覧表示するポップアップUIを設計。
– 該当候補を並べ、簡単に選択できるような検索フィルタを追加。
活動履歴の紐づけ先の問題着信履歴が「リード」「取引先」「取引先責任者」「商談」のどのオブジェクトに紐づくかが曖昧で、適切な履歴管理ができないことがある。優先順位を明確化し、自動で紐づけられない場合は、手動で選択可能な仕組みを導入。– Salesforceの活動履歴管理機能を強化し、対象オブジェクトを簡単に変更できる仕組みを追加。
– 手動紐づけ時に関連候補を自動提示する補助機能を設計。
着信情報のカスタマイズ不足営業担当者ごとに必要な情報が異なる場合、標準の着信ポップアップでは十分な情報を表示できない。着信時のポップアップ情報をカスタマイズ可能にし、ユーザーのニーズに応じた情報表示を行う。– Salesforceのカスタムフィールドやダッシュボードを活用し、ポップアップ情報を柔軟に変更可能にする。
– 営業フローごとに最適化したカスタムUIを設計。
CTIシステムとCRMのAPI連携不具合着信時にCTIシステムからCRMへの情報送信が正常に動作しない場合、情報表示が遅延または失敗することがある。CTIシステムのAPIを検証し、CRMとのデータ連携が正常に行われるよう再設定。– APIログの監視とエラー時の通知設定を導入。
– 着信データが反映されない場合に備えた手動同期のプロセスを追加。

データ項目の管理と整備方法

ータ項目の標準化

システム間で一貫性を保つために、通話時間や顧客情報を統一フォーマットで管理します。

データ項目の意味と型の一致

「通話時間」と「通話の持続時間」など、同じ項目名が異なる意味で使用されることがあるため、各項目の定義と型を明確にしてドキュメント化します。

ドキュメント化とバージョン管理

業務フロー、システムの変更に合わせて、データ項目の仕様や変更履歴をドキュメント化し、情報共有とトラブルシューティングを容易にします。

データエンジニアリング企業の紹介

CRMとCTIの連携に強みを持つ代表的な企業を紹介します。

デリバリーコンサルティング株式会社

Salesforceを中心に、CTIとの連携を支援します。ETLやAPI統合に強みがあります。

Cloud Fit

クラウドベースのCRMとCTIの統合を得意とし、営業活動の効率化をサポートします。

アクセンチュア

大規模なデータ解析基盤の構築や、高度なCRMとCTIの統合を提供します。

エクサウィザーズ

AIを活用した音声データ解析とCRMシステムとの連携で、顧客対応の質を向上させます。

まとめ

CRMとCTIの連携を効果的に行うためには、データエンジニアリングの視点で、データの整合性を保ち、システム間の調整を進めることが重要です。データ項目の標準化や、API連携を駆使することで、顧客対応の質を向上させ、営業活動の効率化を実現できます。

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この記事を書いた著者 林楽騏

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