SalesforceとCTI(電話システム)の連携は、営業チームやカスタマーサポートにおける効率化を大きく進める重要な施策です。この連携により、通話中に顧客情報を即時表示したり、通話履歴を自動でCRMに記録したりすることが可能になります。しかし、実際の導入では課題に直面することも少なくありません。
「なぜSalesforceや他のCRMと他の仕組みを連携する際にこのような問題があるのか?」といった疑問をお持ちの方も多いかと思いますが、これらはデータ構造やモデルの違いに起因することが多いです。
Salesforceは独自のオブジェクト構造を持ち、すべてのデータがオブジェクト(標準オブジェクトやカスタムオブジェクト)として管理されます。一方で、連携する外部システムは異なるデータモデル(SQLベースや非構造化データ)を使用していることが多く、この違いが問題を引き起こします。
例:
Salesforceでは「取引先」と「商談」が別々のオブジェクトとして扱われるが、外部システムではそれらが単一のエンティティとして管理されている場合がある。
解決策:
データマッピング(データの項目対応表)を詳細に設計し、Salesforceのオブジェクト構造に合わせて適切に変換を行う。
この記事では、CTIとCRMの連携で発生しやすい問題の原因を明らかにし、具体的な解決策と導入を成功させるポイントをお伝えします。
目次
Salesforceの柔軟性とよくある課題
まず、押さえておきたいのがSalesforceの柔軟性とよくある課題です。Salesforceの管理者経験のある方であれば、その柔軟性は良く知るところかと思います。
Salesforceが標準的に提供している機能だけでなく、カスタムオブジェクトと呼ばれる各利用企業が独自に管理したい業務のデータや画面を非常に簡単に追加できます。
一方で、その柔軟性の高さゆえ、最初からいくつもカスタムオブジェクトを追加して、結果としてオブジェクト間のデータの整合性を保つための二重管理や追加の入力業務、あるいは追加の設定作業が発生し、運用面、実装面で手間がかかるということもよく聞くお話です。
Salesforceはいくつもの標準オブジェクトを提供していますが、カスタムオブジェクトを柔軟に追加できるからこそ、見落とされている機能もあります。現行業務と標準オブジェクトが持つ機能の適合性を把握した上で、できる限り標準オブジェクトに寄せた運用の実現性を追求していくことが、システム管理者の腕の見せ所で、まさに標準オブジェクトへのこだわりと言えます。
標準オブジェクトを活用することで下記のようなメリットが考えられます。
業務の拡張や変更があっても、標準機能で用意されている設定変更で対応できる可能性があり、拡張性が高い
Salesforceの年3回のバージョンアップの恩恵を最大限受けられる
画面上の機能やオブジェクト間のデータの整合性を保つ機能などが最初から備わっており、余計な設定や実装が不要で結果として運用上のコスト削減につながるなどのメリットがあります。
これらを押さえておくとおかないとでは、外部システムとの連携時にも大きく影響します。
SalesforceとCTIを連携するメリット
1. 顧客対応の迅速化
CTIと連携することで、電話がかかってきた瞬間にSalesforce内の顧客情報が画面にポップアップ表示されます。これにより、顧客の詳細情報を確認しながら会話を進められるため、対応の質が向上します。
2. 通話履歴の自動記録
営業担当者が個別に通話履歴を手動で記録する手間が省け、通話内容が自動的にCRMに保存されます。これにより、チーム全体で正確な顧客データを共有できます。
3. 営業活動のデータ分析が可能に
Salesforceに蓄積された通話データを分析し、成約率向上のための戦略を立てやすくなります。例えば、通話時間や通話頻度を基に顧客の興味度を可視化することができます。
SalesforceとCTI連携でよくある課題と解決策
1. 電話番号のフォーマット不一致
課題: CRMに登録された電話番号の形式が不統一だと、CTIが正しく動作しないことがあります。
解決策:
Salesforce内で電話番号の形式を統一するルールを設定し、+81やハイフン形式を自動で統一するワークフローを構築します。
2. 通話履歴がCRMに反映されない
課題: 通話履歴がSalesforceに正しく記録されない場合、データマッピングやAPI設定の不備が考えられます。
解決策:
- Salesforceの「活動履歴」フィールドとCTIデータ項目を正確にマッピングする設定を見直す。
- CTIシステムのログを確認してエラー箇所を特定する。
- 必要に応じて、API専用のユーザー権限を再設定する。
3. 音声認識精度の低さ
課題: 通話内容の解析精度が低いと、重要なキーワードが記録されず、営業データとしての価値が下がります。
解決策:
- 高品質な音声解析エンジンを導入し、ノイズキャンセリング技術を活用。
- Salesforceにカスタム辞書を設定し、業界固有の用語や顧客名を学習させる。
SalesforceとCTI連携を成功させるための3つのポイント
1. 事前準備の徹底
導入前に、現状の業務プロセスを可視化し、CTIとSalesforce連携における課題を洗い出します。営業プロセスやデータフローを理解しておくことで、設定のミスを防ぎやすくなります。
2. 定期的な改善を実施
導入後も継続的に設定やシステムの動作を確認し、問題があれば速やかに対処します。新しいCTI機能がリリースされる際には、Salesforceとの互換性を確認することが重要です。
3. 専門家の活用
CRMやCTIに精通したコンサルタントや技術者を活用することで、短期間での課題解決が可能です。特に初期設定やトラブルシューティングの際には心強い味方となります。
実際の成功事例
ある中堅企業では、SalesforceとCTIの連携を導入し、次のような成果を上げました。
- 通話履歴の自動記録率が100%に到達: 手動記録の手間がなくなり、営業担当者の生産性が大幅に向上。
- 通話データから成約率向上のヒントを発見: データ分析により、成約につながるキーワードや最適な通話タイミングを特定。
この事例は、CTI連携のメリットを最大限に活用できる好例と言えます。
まとめ
SalesforceとCTIの連携は、業務効率化や顧客満足度向上において非常に効果的です。成功するためには、システム間の設定やデータ統一、継続的な運用改善が欠かせません。本記事を参考に、SalesforceとCTIの連携をスムーズに進め、業務の生産性を向上させましょう。
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