コールセンターやテレアポ、一般企業の電話営業のコミュニケーションは対面のそれとは異なり、音声のみによって成り立ちます。そのため、お客様との通話音声の正確な記録・分析は電話営業の成果を左右する重要な要素です。そこで効果的な手段として活用できるのが、AIによる音声解析です。本記事では、通話の音声解析の仕組み、メリットや活用法についてご紹介します。興味のある方は是非参考にしてください。
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目次
音声解析とは
AIによる音声解析システムは、人間の発話を解析し、その音声データから意味や感情、重要なキーワードなどを把握する技術を指します。具体的には、音声データを解析してテキストデータに変換し、さらにそのテキストを分析して会話の内容やオペレーターの対応を評価することが可能です。特に、コールセンターやテレアポなど、電話を介したコミュニケーションが主要な業務である場面では、AI音声解析技術が広く活用されています。
AIを使用した音声認識の仕組み
AIを利用した音声認識は、ディープラーニングなどの技術の導入により、その精度が大幅に向上しました。音声データから文章を生成する過程は、通常以下の6つのステップで行われます。
Step1:音声入力
最初に、ユーザーは音声認識機能を備えたデバイスに向かって話しかけ、音声入力を行います。これには、音声入力が可能なスマートフォンやスマートスピーカーなどが含まれます。
Step2:アナログの音声データをデジタル化
ユーザーからの音声入力はアナログデータであり、これをAIが処理できるようにデジタルデータに変換する必要があります。このステップでは、音声データを特徴量抽出してデジタル化し、AIが解析できる形に整えます。
Step3:音素の抽出
音声データから音素を抽出するため、音響モデルを使用します。音声データを解析し、最も近い音素を判別し、それを元にテキスト化を行います。最近では、機械学習の進歩により、より正確な音素の抽出が可能になっています。
Step4:単語の照合
音素列を単語に照合するために、発音辞書が使用されます。音素列とそれに対応する単語を照合し、音声入力に含まれる単語を特定します。
Step5:文章の組み立て
言語モデルでは、単語同士の組み合わせを統計的に分析し、最も自然な文章を生成します。音声から得られた情報をもとに、言語モデルが文章を構築し、文脈に合った形で出力します。
Step6:テキスト出力
最後に、言語モデルが生成した自然な文章をテキストデータとして出力します。これにより、音声入力がテキストデータとして正確に変換され、必要に応じて処理や保存が可能になります。
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電話営業に音声解析を取り入れる理由
電話営業における最も大きな課題は、「会話のブラックボックス化問題」です。この問題は、営業担当者が顧客との通話中にどのような内容を話しているか、そしてその内容がどのように商談の結果に影響を与えているかが透明でない状況を指します。特に、商談時に「何を」「誰と」「いつ」「どのように」話しているかはブラックボックス化しがちで、顧客情報が属人的になってしまいます。
このようなブラックボックス化された会話の問題を解決するために、DX化が進んでいる企業では通話録音やAIによる音声解析などの技術が積極的に導入されており、会話の内容や顧客のニーズを把握しやすくする取り組みが行われています。
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電話営業の音声解析を行うメリット
電話営業の音声解析を行うメリットを解説します。主なメリットは以下3点です。
- コア業務に集中できる
- ヒューマンエラーを防止できる
- 顧客満足度の向上
コア業務に集中できる
AI音声認識の活用により、音声データの自動文字起こしが可能となります。これにより、会議や面談などの重要なコミュニケーションの内容を手動で書き起こす手間が省けます。従業員は本来の業務に専念できるため、生産性が向上します。例えば、手動で会話内容を文字起こしし報告する作業にかかる時間を削減することで、架電業務などのコア業務により多くの時間を割くことができます。これにより、業務の効率化と組織全体の生産性向上が実現します。
ヒューマンエラーを防止できる
AI音声認識は自動で音声データを文字起こしするため、各オペレーターによる書き起こしに比べてヒューマンエラーが少なくなります。これにより、業務の正確性が向上し、誤解や誤りからくる問題を軽減できます。特に、重要な情報や指示の漏れを防ぐことができるため、組織全体の業務品質が向上します。
顧客満足度の向上
AI音声認識をコールセンターや顧客サポートセンターなどに導入することで、顧客とのやり取りをリアルタイムで文字化し、効果的な対応が可能となります。これにより、顧客はより迅速かつ正確なサポートを受けることができ、満足度が向上します。また、音声データの分析を通じて顧客のニーズや傾向を把握し、サービスの改善につなげることができます。顧客がより良い体験を得ることで、長期的な関係構築が促進されます。
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通話の音声解析の活用法
通話の音声解析の活用方法を紹介します。主な活用方法は以下の3点です。
- テキスト化
- 通話内容の分析
- 指標に基づいたスコアリング
テキスト化
コールシステム(CTI)に搭載されている音声解析を活用することで、通話内容を自動的にテキスト化することが可能です。通話内容が全て自動的に文字起こしされれば、議事録作成の手間が省け、アフターコールワークにかかる時間や労力を大幅に削減できます。
さらに、コールシステム(CTI)で文字起こしされた内容を自動で要約することも可能です。要約された内容を確認すれば、通話内容の要点を簡潔に把握できるため、部署間での情報共有や連携が円滑に行えます。これにより、意思決定や業務の効率化が促進され、組織全体の業務プロセスがスムーズに進行します。
通話内容の分析
コールシステム(CTI)に搭載されている音声解析を活用することで、通話内容を詳細に分析することが可能です。特に、顧客満足度の高いオペレーターの話し方やコミュニケーションの特徴を分析・可視化することで、組織全体のボトムアップな改善が実現できます。
通話内容の分析によって、各オペレーターの強みや課題が明確に把握できます。顧客満足度の高いオペレーターの話し方やアプローチ方法を解析し、成功事例として共有することで、他のオペレーターも学びやすくなります。また、逆に課題となる部分を特定し、適切な教育やトレーニングプログラムを提供することで、成長スピードを加速させることができます。
指標に基づいたスコアリング
コールシステム(CTI)の音声解析を活用すれば、電話営業をする上で重要な様々な指標に基づき通話内容をスコアリングできます。例えば、弊社が提供しているコールシステム(CTI)であるComdesk Lead(コムデスク)にはお客様との会話を分析してくれる音声解析AIが組み込まれており、以下のような指標が含まれています。
さらに、Comdesk Lead(コムデスク)は携帯回線という特徴によって実現する「高品質な音声品質」を提供するため、AIによる音声認識・解析の精度が向上し、より正確なデータを取得できます。このような定量的な評価に基づいて、オペレーターは自身の強みや改善点を把握し、効果的なトレーニングや指導を受けることができます。
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まとめ
本記事では、通話の音声解析の仕組み、電話営業での活用法やメリットについてご紹介しました。音声解析AIは、電話営業のブラックボックス化の防止、オペレーター教育、業務効率の向上など電話営業にさまざまな形で役立てることが出来ます。こうしたAIによる音声解析機能を搭載するツールには、IP電話などがあります。これらの機能や特徴の違いについては以下の記事で紹介しているので、導入を検討したい方は是非ご覧ください。
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