自社の商品やサービスを売り込むためにおこなう架電営業。
商品やサービスが認知されている受電対応よりも、興味をもってもらうところから始まる架電営業は、難易度が高い傾向にあります。
今回は架電営業で成約率を上げるためのコツや、事前にしておく準備、架電営業後にやっておいた方が良いことなどをご紹介します。
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架電営業で成約率を上げるコツ
架電営業で成約率を上げるには、電話の基本マナーを習得し、セールストークや話し方のコツなどを学んでいくことが重要です。
具体的に意識したいことは、以下のとおりです。
【架電営業で成約率を上げるコツ】
- 断られることを恐れずに架電する
- 声のトーンやスピードを意識しながら営業する
- 話す内容を簡潔にまとめる
- 電話のビジネスマナーを身につけておく
- 会話のなかで商品やサービスを売り込む
- セールストークについて学ぶ
- 説得力のある情報やデータを提示する
- 自社サービス・商品知識を深く知る
- 電話をかける時間帯について把握する
架電営業は顧客が商品やサービスについて知らない・興味がない前提でアプローチします。
仮に断られても、どのような理由で断られたのか?商品やサービスの魅力はうまく伝えられたのか?など常に試行錯誤し、話す内容をブラッシュアップすることが成約率を上げることにつながります。
断られることを恐れずに架電する
架電営業は自社の商品やサービスを知らない顧客へ突然、電話を差し上げるため、基本的に顧客は架電営業に対して好意的でないことが考えられます。
まずは断られることを念頭に、架電先すべてに話を聞いてもらおうとせず、話を聞いてくれる顧客に対して注力しましょう。
話を聞いていただいた上で断られたとしても、どのような理由で断られたのか、どのような質問をされたかなどのデータが残ります。
そのデータを架電営業にいかすことが重要です。
架電してすぐお断りされる場合は、こだわらず次の架電に切り替えましょう。
声のトーンやスピードを意識しながら営業する
商品やサービスの内容をしっかり伝えるためにも、まずは声のトーンやスピードを意識して顧客が聞き取りやすい話し方を徹底しましょう。
どれほど優れたトークスクリプト*があっても、その内容を顧客が聞き取れなければ全く意味がありません。
※トークスクリプトとは、営業をする際のフローチャートや、商談内容などがまとめられている台本のこと。
一般的には、電話口では普段話す音域より高めに話すと良いと言われています。なぜなら、声には感情が強く反映しており、無意識でもその声から自分の感情や状況が相手に伝わってしまうからです。
以下に、それを裏付ける研究を紹介します。
(中略)
まず、架空のAさんについて「よい」「普通」「悪い」印象を与える行動を記した文章を、幸せそうな声と悲しそうな声で読み上げ、聴取者がAさんに対してどのような印象をもつのかを調べました。すると、普通の行動はどちらの声で語られても印象への影響はほとんどありませんが、悪い印象を与える行動は幸せそうな声で話されると印象が良くなり、よい印象を与える行動は悲しい声で語られると悪い印象になることがわかりました。このことは、声のプロソディによって、発話内容の印象を変化させることができることを示しています。言語情報はその内容だけでなく、「どう語られるか」が重要です。
引用:人によい印象を与えるには~印象形成における姿勢と声のプロソディの効果 北村美穂 准教授
このように、架電営業はお互い表情がわからないため、声のトーンを上げて印象を良い方向にコントロールすることは重要なテクニックです。
明るい声のトーンや聞き取りやすいスピードを意識しましょう。
話す内容を簡潔にまとめる
架電営業の際に、最初に電話をとる顧客が窓口担当のオペレーターや事務員である場合もあります。
担当者に取り次いでもらうためにも、どのような用件で電話をかけたのかを簡潔に伝える必要があります。
架電営業の最中に、営業の補助的な役割として会話の中でトークスクリプトを用いることがあります。
しかし、トークスクリプトを一言一句そのとおりに長々と話してしまうと、顧客に「話しが長くて退屈」「話し方が機械的で押し売り感が強い」といったマイナスのイメージを与えかねません。
架電営業のみで商品やサービスの魅力を全て伝える必要はありません。
アポイントを取って後日対面での営業につなげることも、架電営業の重要な役割です。
用件を簡潔に伝え、顧客がサービスに関心を持ってくれることを優先しましょう。
電話のビジネスマナーを身につけておく
社会人として基本となるビジネスマナーが身についていなければ、優れた営業トークができても顧客に不快感を与えてしまう可能性があります。
「ビジネスマナー」の意識についての調査では、ビジネスマナーで不快な思いをしたことがあると答えた人が5割という結果もあります。
ビジネスパーソン1000人調査【ビジネスマナー編】調査結果
引用:一般社団法人日本能率協会
正しいビジネスマナーを身につけて、顧客のイメージダウンの要因を少しでも減らしましょう。
【営業電話の基本的なビジネスマナー】
- 挨拶をする
- 会社名と名前を聞き取りやすいようはっきり伝える
- 用件を簡潔に伝える
- 敬語を正しく使う
- 話し言葉を使わない
マナーが悪いことで商品やサービスの魅力が伝わらないのは非常に惜しいことです。
最低限のビジネスマナーは必ず身につけておきましょう。
会話のなかで商品やサービスを売り込む
架電営業の中で商品やサービスの魅力を伝えることは大切ですが、魅力を伝えようと必死になるあまり、一方的に話してしまうのは好ましくありません。
あくまでも顧客の悩みを把握した上で、顧客の役に立てるような商品やサービスを紹介することが重要です。
まずは商品やサービスのアピールよりも、自然な会話の流れをつくり、顧客の悩みや現状への不満点などを聞き出しましょう。
提案する際は不安や悩みが解決できるような案を提示しつつ、顧客に複数の選択肢を提示して選んでもらうことで、アポイントにつながりやすくなります。
セールストークについて学ぶ
先述したとおり、自然な話しの流れの中でセールストークを織り交ぜるには、以下のポイントに沿って話してみてください。
- 顧客の悩みをヒアリングする
- 達成したい目標・ゴールを尋ねる
- ゴールに対してボトルネックになっていることは何だと思うか伺う
- そのボトルネックに対する解決策と商品・サービスがもたらすベネフィットを紹介する
たとえば、顧客が「電話営業を改善したい」という悩みを抱えているとしましょう。
まずは「電話営業の何を改善したいのか?」など現状をヒアリングし、ボトルネックになっていることから目標としているゴールまでを聞き出します。
そして商品やサービスの紹介につなげますが、ここで「CTIシステムが便利ですよ。CTIとは…」とシステムの機能や導入のメリットを話し始めるのは早計です。
ただ機能を紹介するのではなく、顧客がそのシステムを導入した際にどのような未来を手に入れられるか?というベネフィットを提示することが重要です。
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説得力のある情報やデータを提示する
セールストークの中で、単に「〇〇システムの導入で業務改善しました」というメリットを提示するだけでは、クライアントの信頼を得ることはできません。
電話業務を改善したいという悩みや不安をヒアリングで引き出せた場合、「自社製品のCTIを導入した他社様では○○%の業務改善を達成した」など、具体的な数値やデータを提示しましょう。
【数字やデータに基づいた情報の紹介例】
- 導入後に架電効率が○○%上がった
- 導入している企業様は成約件数が○件上がった
- 1件の電話業務にかかる時間が○分削減できた
顧客の悩みに合った商品の情報やデータを選ぶことで、顧客の信頼を得やすくなります。
自社サービス・商品知識を深く知る
架電営業に対して興味を抱いた顧客は、商品やサービスに関して具体的な質問を投げかけてくれます。
先ほどの例として、CTIシステムの導入を勧める架電営業をしているとします。
顧客からは、以下のような質問がくることがあります。
- kintoneとの連携は可能?
- どのぐらい電話業務の時間が短縮できる?
- 導入コストと導入後に削減できるコストの比較は?
こういった具体的な質問にすぐに答えられるよう、紹介する商品やサービスに関する知識を広く深く持っておきましょう。
顧客からの質問に回答できないとなるのは、顧客が信頼してくれそうになっている手前、非常にもったいないです。
過去に顧客からいただいた質問や、考えうる疑問に対してスムーズに回答できるよう、商品知識を豊富に持っておくこと、想定できる質問への回答をあらかじめ用意しておくことが重要です。
電話をかける時間帯についても把握する
架電営業をする際には、電話をかける時間帯やタイミングを考えて電話をかけましょう。
可能な限り担当者や責任者がいる時間帯に架電することで、かけなおす手間が省けます。
また、繁忙時間帯にかけてしまうと「忙しいから」という理由で断られる確率が高くなるため、顧客が通話時間を確保できるような時間帯に架電しましょう。
具体的には、以下の時間帯は避けてください。
- 始業時間帯(9:00〜10:00)
- 休憩時間帯(12:00〜13:00)
- 就業時間帯(17:00以降)
不在を理由に断られた場合は、担当者が戻ってくる時間を尋ねて再度かけなおすことを伝えておくと、次のアポイントにつながりやすくなります。
架電営業をする前にしておく準備
【架電営業をする前にしておく準備】
- 成約率が高いリストの作成
- トークスクリプトの準備と内製化
- サービスや商品について深く知る
- 架電の流れを把握しておく
- 架電先について調べておく
成約率が高いリストの作成
受注見込みが高い架電リストとは、企業の商品やサービスに最適な顧客が包括的にリストアップされたものを指します。
新規開拓の際、適切なターゲットを見つけることが課題となることもありますが、自社商品を深く理解し、潜在的な顧客がどこに存在するかを仮説立ててリストを作成することが重要です。また、リストの作成は、営業戦略を策定する担当部署によっても行われることがあります。
一方で、電話をかける担当者がリストを受け取った場合は、まずリストの内容に問題がないかを確認することが大切です。
架電に必要な情報が漏れていたり、項目に不備や重複があれば、その段階で修正や対処を行っておくべきです。これによって、スムーズな架電営業が実現され、効果的な営業活動が可能となります。
トークスクリプトの準備と内製化
トークスクリプトは、おおよそ顧客の課題を予測し、一般的な質問にあらかじめ用意された回答を含む、いわば電話営業のための指南書のようなものです。電話営業が完全にトークスクリプトだけに頼るものではありませんが、担当者ごとにコンテンツに一貫性をもたせ、ばらつきを避けるために重要です。
数年以上にわたり電話営業を担当している企業では、これまでの成功体験に基づいたトークスクリプトが既に存在しているでしょう。トークスクリプトには、どのように営業会話を進めるかが詳細に記載されているため、しっかりと確認することが重要です。初めて電話営業に携わる場合は、このトークスクリプトを基にしたトレーニングが通常行われますので、企業独自のアプローチを習得しておくようにしましょう。
企業によっては、トークスクリプトに厳密に従う必要性や詳細なケースについての記載が異なるため、具体的な指針は異なります。相手先によってトークスクリプト通りに進まない場合も考えられますが、これらの事例を記録し、社内で情報共有しトークスクリプトを適宜更新することが重要です。
サービスや商品について深く知る
架電営業を行う前にサービスや商品について深く知ることは非常に重要です。以下にその理由をいくつか挙げてみましょう:
- 信頼性の向上: 商品やサービスに関する豊富な知識は、顧客に対して信頼性をもたらします。深い理解があることで、顧客の質問や懸念に的確に対応でき、信頼を築くことができます。
- 質問への的確な回答: 顧客はしばしば製品やサービスに関する質問をすることがあります。それに対して即座かつ的確に回答できることは、良い印象を与え、顧客を引き込む要因となります。
- ニーズの理解: 商品やサービスを深く理解することで、顧客のニーズや要望をより正確に把握できます。これにより、より適切な提案やカスタマイズが可能になります。
- 競合他社との差別化: 営業担当者が自社の商品やサービスについて深い理解を持っていることは、競合他社との差別化にも繋がります。独自の強みや付加価値を強調できます。
- 自信の向上: 商品やサービスに自信を持ち、それを伝えることができると、自信に満ちた営業トークが可能になります。これは相手に対して強い印象を与えます。
- 営業効率の向上: 商品やサービスについて深く知っていることで、無駄なやりとりや調査の時間を減らし、効率的な営業活動ができます。
総じて、サービスや商品についての深い知識は、架電営業において成功するための基盤となります。これにより、信頼を築き、的確な提案ができ、最終的には成約率の向上につながります。
架電の流れを把握しておく
トークスクリプトに頼り切ると、機械的な読み上げのような印象を与えてしまい、電話営業の成功確率が低くなります。電話をかける際の挨拶から、担当者への繋ぎから始まり、商品の紹介、セールストークの進め方、最終的な契約締結まで、電話営業の全体の流れをシミュレーションし、フローを作成して理解しておくことが重要です。
架電先について調べておく
企業に対する電話営業を行う際には、電話をかける前に相手企業について事前に調査を行いましょう。相手の情報を全く知らずに電話をかけると、相手とのコミュニケーションが難しくなり、不信感を抱かれたり、誤って競合他社の名前を出してしまい相手の気分を害したりするトラブルが生じる可能性が高まります。電話をかける前には、社長や役員の名前、企業の業務内容、規模感など、相手企業の基本的な情報を確認しておくことが重要です。
一方で、個人向けの電話営業の場合は、情報収集が難しいことがありますし、あまりにも詳細な個人情報を持っていると不審がられることもあります。そのため、個人への電話営業の際には、与えられた情報を事前に確認する程度にとどめ、慎重に進めることが適切です。
架電営業後にしたいこと一覧
【架電営業後にしたいこと一覧】
- トークスクリプトの見直し
- 録音を聞いて通話内容を見直す
トークスクリプトの見直し
トークスクリプトを改良する際、用意したスクリプトに基づいて話を進めても、必ずしもアポイントを獲得できるとは限りません。従って、架電後にはトークスクリプトを検証し、必要に応じて手を加えることが重要です。
成功したアポイント取得や失敗したケースの両方を詳細に分析し、どこで良い印象を与えられたのか、逆にどこが課題だったのかを明確にします。その結果をもとに、仮説を立ててトークスクリプトの内容やアプローチ方法、話し方などを変更・最適化していくことが重要です。
このサイクルを継続的に回すことで、効果的なトークスクリプトを構築し、アポイントメント獲得の成功率を向上させることが可能です。
録音を聞いて通話内容を見直す
架電営業後に録音を聞いて通話内容を見直すことは重要な理由がいくつかあります。
- 自己評価とスキル向上: 録音を通じて自身の営業スキルやコミュニケーション能力を客観的に評価することができます。成功した部分や改善が必要な部分を確認し、次回の営業でのパフォーマンス向上に役立ちます。
- 効果的なトークスクリプトの確認: トークスクリプトが実際の通話でどれだけ効果的かを確認できます。トークスクリプトが目的に適しているかどうかや、顧客との対話で使いやすい形になっているかを検証することが重要です。
- 共有と協力: チーム内で録音を共有することで、メンバー同士で成功体験やベストプラクティスを共有しやすくなります。相互の学び合いやアイディア交換が効果的に行われ、チーム全体の成果向上に寄与します。
- 改善の機会: 録音を通して発見された課題や改善点に対処することで、営業活動の質を向上させることができます。具体的なフィードバックをもとに行う改善は、将来の通話や営業活動にポジティブな影響を与えます。
- 法的な側面: 通話録音は法的な保護や紛争解決の際の証拠として有用です。契約や合意が曖昧になった場合、録音が事実関係の確認や解決に役立つ可能性があります。
総じて、録音の確認は個人やチームの継続的な成長と品質向上に寄与し、営業活動全体をより効果的かつ効率的にするための重要な活動と言えます。
まとめ
この記事では架電営業で成約率を上げるコツを多数紹介しましたが、後半で述べた架電営業前と後に取り掛かるべきいくつかのタスクも、より効果的な営業活動を展開し、顧客からの信頼を築きながら成果を上げるうえで不可欠です。
架電営業は、顧客とのダイレクトな対話を通じて信頼を構築し、ニーズに応える大きなチャンスです。計画的なアプローチと継続的な学び合いを大切にし、常に顧客の期待を超える価値提供を心がけましょう。これにより、架電営業が企業の成長と成功に寄与することでしょう。
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