2024.10.16
インサイドセールス セールスイネーブルメント 不動産営業

企業成長の新しいアプローチ|POD型組織の効果と課題とは?

#セールスイネーブルメント #営業組織

近年、企業の成長戦略において、POD型組織の導入が注目を集めています。POD型組織とは、少人数で必要な機能を揃えたチーム構成を採用することで、マーケティングからインサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスマネージャーまでを一貫して運営する手法です。この革新的な組織モデルは、特にエンタープライズ市場において、その効果が高く評価されています。

従来の分業制では得られなかった迅速な意思決定や、部門間の緊密な連携を実現するために、POD型組織の導入を決断する企業は増えています。そこで本記事では、POD型組織の実際の運用プロセス、その効果や課題について詳しく解説するので、興味のある方は是非参考にしてください。

■合わせてよく読まれている資料

「営業組織が10名超える時に取り組むべきこと」も合わせてダウンロードいただけます。

分業制は常に効果を発揮するわけではない

分業制とは、業務や作業を細かく分割し、それぞれの部分を専門の担当者やチームに任せる経営手法です。この手法では、各担当者が特定のタスクに集中し、専門知識やスキルを高めることで、効率的かつ高品質な成果を生み出すことが出来ます。

しかし、実際のビジネスシーンでは、分業が業績向上に直結する例が増えているとはいえ、期待通りの効果が得られないことも少なくありません。

例えば、特定の大企業向けにエンタープライズソリューションを提供する場合では、新規リードの大量獲得や、複雑な顧客管理を行う必要がありません。なぜなら、主要顧客はすでに確立された関係性を持つ企業であり、新規顧客の獲得よりも、既存顧客との深い関係構築が求められるからです。

このようなケースでは、従来の分業制を採用することなく、少数精鋭のチームが顧客のニーズに迅速に対応し、直接的なコミュニケーションを通じて高品質なサービスを提供することが成功の鍵となります。

この例からわかるように、特定のビジネス環境では分業が必ずしも効果を発揮しない場合があります。重要なのは、自社のビジネスモデルやターゲット顧客に最も適した組織を構築することです。つまり、分業の有効性は状況や条件によって大きく異なるため、慎重に検討し、適切な戦略を採用する必要があります。

分業制には柔軟なアプローチが必要

分業制を導入すると、マーケティングやインサイドセールスから自動的に商談が供給され、営業がただ受注を決めるだけで済むという考え方は誤解されがちです。実際には、それほど単純なものではありません。

例えば、営業担当者たちは、インサイドセールスからの商談供給に頼らず、自らのネットワークや紹介を活用し、見込み顧客を発見し、契約に結びつけることに励んでいます。つまり、従来の営業スタイルと分業の利点を組み合わせることで、高い成果を上げられるのです。

分業制を効果的に運用するためには、企業のビジネスモデルやターゲット市場に合わせた柔軟なアプローチが必要です。営業担当者は自らのネットワークを活用し、マーケティングやインサイドセールスと連携しながら、商談の機会を最大限に活かすことが求められます。

POD型組織とは?

企業のマーケティング戦略において、広範な広告やプロモーションを展開するよりも、特定のターゲット企業に焦点を絞った戦略的アプローチを強化することが効果的です。特に、対象となる企業数が限られる場合、顧客の特性、ニーズや課題を詳細に理解し、効果的に働きかけるためには、幅広い一般的なメッセージではなく、業界特化型の専門知識に基づいたアプローチが必要です。

このような場合に有効となるのが、一般的な分業制とは異なる組織運営である「POD型組織」です。POD型組織は、少人数のチームが必要な機能を統合した組織形態を指します。各PODは、自律的にマーケティング、営業、カスタマーサポート(CS)などの機能を持ち、特定のターゲット企業や市場に対して一貫したアプローチを取ります。

POD型組織を導入することで、企業はターゲット市場に対する深い理解と専門知識を活かした戦略的なアプローチを実現できます。これにより、顧客満足度の向上や売上の増加が見込まれます。特に、限られたターゲット企業に対しては、POD型組織のような柔軟で統合的なアプローチが非常に効果的です。

POD型組織の効果と課題

POD型組織のメリットは、主に以下の4つです。

  1. 一貫したアプローチ: マーケティングから営業、CSまでのプロセスが一貫しているため、顧客とのコミュニケーションがスムーズで、一貫性のあるメッセージを伝えることができます。
  2. 業界知識の共有: 各POD内で業界特有の知識や経験が共有され、チーム全体の顧客理解が深まります。これにより、より効果的な提案やサポートが可能となります。
  3. 迅速な対応: 少人数のチームが自律的に動くため、顧客のニーズや市場の変化に迅速に対応できます。これにより、競争力を維持し、迅速な問題解決が可能です。
  4. 業務効率の向上: 各PODが独自に業務を進めるため、効率的に作業を行うことができ、全体の業務効率が向上します。

ある企業では、POD型組織を導入して以来、マーケティングやSDR・BDRが特定の業界にアプローチする際、チーム全体でアタックリストを作成し、リード獲得チャネルを共有することで、商談数や有効商談化率が向上しました。ターゲットリストの作成には、既存の取引先や進行中の商談を除外し、社員の接点を確認して優先順位付けをする必要がありますが、POD型組織ではインサイドセールスに依存せず、メンバーが協力して対応するため、効率的にリストを作成できます。

一方で、POD型組織の課題は人材の確保です。理想的には業界ごとにPOD組織を構築したいところですが、少数精鋭のスタートアップ企業では人的リソースの問題があります。1人が複数のPOD組織を兼任すると、業界知識やノウハウの吸収に限界があり、効果が薄れてしまう可能性があります。

POD型組織は、人的リソースが限られている場合に課題が生じることもありますが、導入することで業務のスピードと精度が大幅に向上し、チーム全体の協力が強化されます。そのため、企業成長を目指す上での新たなアプローチとして非常に有効です。

まとめ

POD型組織の導入によって、迅速なアプローチや商談数の増加、部門間の連携強化による建設的な議論の増加など、多くのメリットが生まれます。しかし、POD型組織はリソースの豊富さを前提としており、少数精鋭のスタートアップ企業では人材の確保が課題です。特に各PODが特定の業界に対して専門知識を持つことが求められるため、一人のメンバーが複数のPODを兼任することは難しい現状です。この課題に対しては、人員を強化しながら、組織の拡大と成果の向上を目指していく必要があります。

総じて、POD型組織はエンタープライズ市場において大きな成果を上げる可能性を秘めています。そのため、POD型組織の運用から得られる知見を活用し、さらなる成長と市場拡大を目指すことは重要です。

■本記事を読まれた方に人気の記事
テレアポに使うCTIシステムとは?
【ChatGPT特集】ChatGPT-4oとは?業務活用事例特集!海の向こうから国内まで
【通話の音声解析】電話営業における活用法やメリットを解説
効率的なアウトバウンド電話営業のためのコールシステム(CTI)活用法
営業マンに社用携帯(スマホ)が必要な理由とは?

■コールシステム(CTI)初心者向け完全ガイド
CTIとは?仕組みやメリット、2024年版サービス比較を紹介

この記事を書いた著者 髙橋 弘考

同志社大学在学中に豪州にて起業。卒業後Webマーケ企業の社長室に配属、経営企画に携わる。翌年タイ法人の立ち上げ、現地CEOに就任し、コールセンターやオフショア開発拠点の立ち上げ。2013年より当社設立。初期プロダクト開発責任者。

Comdesk Leadを
詳しく知る