
電話対応は、顧客満足度や営業成果を大きく左右する業務です。
一方で、「対応履歴が残らない」「担当者によって品質にばらつきが出る」「管理や分析がしづらい」などの課題を感じている企業も少なくありません。本記事では、CTIの基本的な仕組みを解説します。
目次
CTIとは?
CTI(Computer Telephony Integration)とは、電話とコンピューターを連携させて、電話業務を効率化・高度化する仕組みのことです。
主に、顧客管理が重要な営業部門や、架電数の多いコールセンターなどで導入されているシステムです。
CTIを導入すると、着信があったときに顧客名・過去の問い合わせ内容・対応履歴などを即座に表示できます。
担当者は状況を把握したうえでスムーズに応対できるようになり、応対品質の均一化や改善に役立ちます。
電話対応に課題がある企業は、ぜひ一度CTI活用を検討してみましょう。
CTIで導入でできること

ここでは、CTI導入でできることを解説します。主な機能一覧としてもご参考ください。
電話番号ポップアップ
CTIの代表的な機能のひとつが、電話番号ポップアップ(着信ポップアップ)です。
着信と同時に発信元の電話番号をもとに顧客情報がパソコン画面に自動表示されるため、電話に出る前から相手の状況を把握できます。
▼ポップアップ表示される項目の例
- 顧客名・会社名
- 電話番号
- 過去の通話履歴や問い合わせ内容
- 担当者のメモや対応履歴
あらかじめ情報を確認できることで、「誰からの電話かわからないまま応対する」「履歴を探すために長く保留してしまう」などの課題を防げます。
顧客も待たされることなくスムーズで的確な対応を受けられるため、応対品質の向上につながります。
録音/自動文字起こし
CTIの録音/自動文字起こし機能は、すべての通話内容をデータとして残し、電話対応の「見える化」を実現する重要な機能です。
通話を自動で録音し、その内容をテキスト化することで、属人化しがちな電話業務を改善できます。
▼主な機能
- 通話内容を自動で録音・保存する
- 会話内容をテキストとして確認できる
- キーワード検索で過去の通話を振り返れる
- 顧客との認識違いや言った・言わないを防止する
録音データが残ることで、クレーム対応やトラブル時の事実確認がスムーズになります。
また、自動文字起こしを活用すれば音声をすべて聞き直さなくても要点を把握でき、確認作業の時間短縮にもつながります。
自動発信
CTIの自動発信機能は、あらかじめ用意したリストに対してシステムが自動で電話をかけることで、架電業務の効率を大きく高める機能です。
手作業で番号を入力する必要がなく、オペレーターは会話そのものに集中できます。
▼主な機能
- 顧客リストからワンクリック、または自動で発信する
- 不在・話中を自動判別し、次の番号へ発信する
- 発信結果を自動で記録する
- 架電状況をリアルタイムで可視化する
番号入力や待機時間といった無駄な作業が減り、1人あたりの架電数が大幅に増加します。
特に、架電数の多いインサイドセールスやアウトバウンド営業では、限られた時間でより多くの顧客にアプローチできる点が大きな強みです。
通話履歴管理
CTIの通話履歴管理機能は、発着信の情報や通話内容を自動で記録し、電話対応を「蓄積できる業務」に変える仕組みです。
個人のメモや記憶に頼らず、誰でも同じ情報を共有できるようになります。
▼主な機能
- 発信・着信日時の管理
- 電話番号・顧客名の管理
- 通話時間・対応結果の管理
- 録音データやメモ内容の管理
過去のやり取りをすぐに振り返れるため、二重対応や聞き直しを防止できます。
担当者が不在でも、別のメンバーが履歴を確認してスムーズに引き継ぎ対応ができ、チーム連携にも効果的です。
顧客情報表示と連携
CTIの顧客情報表示と連携機能は、電話とCRMや顧客管理システムをつなぎ、対応に必要な情報を一画面で確認できる仕組みです。
電話対応を「点」ではなく「履歴のあるコミュニケーション」として管理できるようになります。
▼主な機能
- 着信・発信と同時に顧客情報を自動表示する
- CRMやSFA、顧客管理ツールとデータ連携する
- 通話履歴やメモを顧客データに紐づけて保存する
- 対応内容をチームで共有する
顧客情報が事前に見えることで、購入履歴や過去の問い合わせ内容を踏まえた、的確で一貫性のある対応が可能になります。
何度も同じ説明を求める必要がなくなり、顧客のストレス軽減にもつながります。
着信ポップアップ機能で対応漏れ防止
CTIの着信ポップアップ機能は、着信があった瞬間に顧客情報や対応状況を画面に表示し、電話対応の抜け漏れを防ぐ仕組みです。
誰からの電話か、どのような用件かを即座に把握できるため、確実な対応につながります。
▼主な機能
- 着信と同時に顧客情報・過去履歴を表示する
- 不在着信や未対応の履歴を自動で記録する
- 折り返しが必要な電話を可視化する
- シフト勤務者同士で残対応を引き継ぐ
着信内容が記録として残ることで、「誰も出られなかった電話」「折り返しを忘れてしまった問い合わせ」などの機会損失を防げます。
特に問い合わせが集中する時間帯や、複数人で電話を受ける体制で特に効果を発揮します。
自動発信で架電効率UP
架電業務では、番号入力・発信待ち・不在中時の切り替えなど、実際の会話以外に多くの時間が費やされていました。
架電業務の無駄を解消するためには、CTIの自動発信機能が役立ちます。
実際に、自動発信機能を使って架電業務を改善した事例があります。
▼CTI導入により
- 通話実績が自動蓄積され、重複架電・入力作業がなくなった
- ワンクリック発信等で架電件数が2倍以上に増加した
- 面倒な操作を削減し、営業スタッフが会話に集中できる環境を実現した
架電結果も自動で記録されるため、入力作業や待機時間が大幅に削減されました。1人あたりの架電数は明確に増加し、限られた時間でも効率よくアプローチできる体制を構築しています。
出典:導入事例記事 不動産業界に合わせたカスタマイズで事業拡大に貢献。 電話営業件数2倍以上、モチベーションにも効果あり
教育品質向上
CTIを使うと通話内容や対応履歴をデータとして蓄積できるため、電話対応の教育品質を安定して高める仕組みとしても活用できます。
感覚や経験に頼らず、具体的な事例をもとにした指導が可能になります。
▼主な活用法
- 通話録音を使った具体的なフィードバック
- 良い応対・改善が必要な応対を事例として共有
- 自動文字起こしによる振り返りの効率化
- 新人教育やロープレへの活用
録音や文字起こしを確認することで、「どこが良かったのか」「どこを改善すべきか」を客観的に伝えられます。
指導内容が明確になるため、教育のばらつきを抑え、短期間でのスキル向上が期待できるようになるでしょう。
電話業務にCTIを導入するメリット
ここでは、電話業務にCTIを導入するメリットを解説します。なぜ多くの企業でCTIが導入されているのか、理由を探ってみましょう。
生産性向上
手作業での番号入力や対応履歴の記録など、これまでオペレーターが費やしていた時間を大幅に削減できるため、生産性の向上に貢献します。
| 事例 | 効果 |
| 架電効率の改善 | 自動発信機能で1人あたりの架電数が従来の2倍以上に増加。手入力の手間が省け、会話に集中できる。 |
| 対応漏れの防止 | 着信ポップアップや通話履歴管理により、折り返し漏れや二重対応を防止。対応が迅速になり顧客満足度が向上する。 |
| 情報確認の時間短0縮 | 顧客情報の自動表示により、電話に出る前から過去の履歴やメモを確認できる。保留時間や聞き返しが減少する。 |
| 教育効率の向上 | 通話録音・文字起こしを活用したフィードバックや事例共有で、新人教育やスキルアップが効率化する。 |
単なる業務効率化だけでなく、電話対応の質を維持しながら生産性を大きく引き上げることが可能です。
結果としてチーム全体の業務量を同じ時間でこなせるようになり、営業成果や顧客満足度の向上につながります。
出典:導入事例記事 デジタル化で生産性1.5倍以上、管理業務 約8割削減を達成。 データ分析と活用でサービス向上も実現。
顧客満足度向上
電話業務にCTIを導入すると、顧客満足度を向上できることも大きなメリットです。
| 事例 | 効果 |
| 着信ポップアップでスムーズ対応 | 顧客情報や過去履歴を着信と同時に表示。名前や状況を把握したうえで応対できるため、顧客の待ち時間や不満を軽減する。 |
| 通話履歴・顧客情報連携 | 過去の問い合わせ内容や対応履歴を即座に確認できる。再度同じ説明を求められることが減り、信頼感の向上につながる。 |
| 録音・文字起こしによる対応品質向上 | 応対内容を振り返り、スタッフ教育や改善に活用。常に高い品質で対応できる体制を維持できる。 |
| 自動発信・折り返し管理 | 折り返し漏れや対応遅れを防止。迅速な対応で顧客満足度を向上させる。 |
従来の電話対応では顧客情報の確認や対応履歴の共有を手作業に頼ることが多く、対応のばらつきや待ち時間の発生が課題でした。
CTIを活用すれば、手作業ならではの課題を解消し、顧客にストレスのない対応を提供できます。
出典:STRATE|CTIで顧客満足度を上げた企業の事例について
管理工数削減
CTIを導入すると、管理工数の削減も大きなメリットです。
従来は、電話対応の進捗管理・履歴の集計・架電状況の把握などを手作業で行う必要があり、管理者に大きな負担がかかっていました。
CTIを活用すれば管理業務も自動化・効率化でき、人的コストを大幅に削減できます。
| 事例 | 効果 |
| 通話履歴の自動記録 | 発着信の日時、顧客情報、対応結果が自動で記録されるため、手作業での集計や確認が不要に。 |
| 架電状況のリアルタイム可視化 | オペレーターごとの架電数や接続率を管理画面で瞬時に把握。報告書作成や進捗確認の手間を削減する。 |
| 自動発信・折り返し管理 | 架電漏れや折り返し忘れを自動で管理。管理者が個別に確認する必要がなくなる。 |
| 顧客情報との連携 | CRMや顧客管理システムと連携し、対応状況や履歴を一元管理。複数システムでの二重入力を防止する。 |
CTI上のデータはリアルタイムで可視化されるため、問題点の早期発見や改善施策の立案も迅速に行えます。
結果として、管理工数を抑えながら、チーム全体の効率と業務品質を向上させることが可能です。
出典:導入事例05 – Comdesk Lead (公式) – Comdesk(コムデスク)Comdesk Leadは、IP回線と携帯回線を併用できるアウトバウンドコールシステム(CTI)です。
営業成果向上
CTIを導入すると、営業成果の向上も期待できます。
電話業務の効率化や顧客情報の可視化により、オペレーターは架電数を増やすだけでなく、顧客に応じた的確なアプローチが可能になります。
| 事例 | 効果 |
| 自動発信で架電効率UP | 自動発信により手入力や待機時間が減少。1人あたりの架電数が増え、接触機会の増加で商談機会も拡大する。 |
| 顧客情報表示・CRM連携 | 過去の購買履歴や問い合わせ履歴を即座に確認でき、顧客に最適な提案が可能。クロスセルやアップセルのチャンスが増加する。 |
| 通話履歴・録音の分析 | 架電結果や通話内容を分析し、効果的なトークや架電リストを改善。営業戦略の精度向上に貢献する。 |
| 折り返し・対応漏れ管理 | 折り返し忘れや未対応を防止し、商機損失を削減。迅速な対応で顧客満足度も向上する。 |
電話業務が効率化され、オペレーターはより多くの顧客に効率的かつ効果的にアプローチできるのがポイントです。
結果として、営業成果の向上だけでなく、顧客との関係性強化やリピート率向上にもつながります。
出典:導入事例09 – Comdesk Lead (公式) – Comdesk(コムデスク)Comdesk Leadは、IP回線と携帯回線を併用できるアウトバウンドコールシステム(CTI)です。
CTIの種類
ここでは、CTIの種類を紹介します。一口にCTiと言ってもさまざまなタイプがあるので、参考にしてみましょう。
インバウンドCTI
インバウンドCTIとは、顧客からの着信(問い合わせやサポート依頼)に特化したCTIのことです。
顧客が電話をかけてきた際に、オペレーターの画面に自動で顧客情報や過去の対応履歴を表示し、スムーズな応対を可能にします。
▼主な効果
- 着信と同時に顧客情報を自動表示する
- 過去の問い合わせ履歴や購入履歴を確認する
- 応対状況や通話内容を自動で記録する
- オペレーター間で履歴を共有し、対応の属人化を防止する
インバウンドCTIのメリットは、顧客対応の迅速化と品質向上です。
顧客は自分の情報を繰り返し説明する手間がなくなり、担当者も事前情報を把握した上で応対できるため、待ち時間や誤解のリスクを減らせます。
アウトバウンドCTI
アウトバウンドCTIとは、営業やフォローコールなど、企業側からの発信業務に特化したCTIです。
電話番号を手入力する手間を省き、効率的に架電業務を行うことができます。
▼主な効果
- 顧客リストから自動で発信する(自動発信/プレビュー発信)
- 架電結果を自動で記録・集計する
- 不在・話中を自動判別し次の番号に発信する
- 通話内容を録音し、分析や教育に活用する
この仕組みにより、架電効率が大幅に向上します。
オペレーターは電話番号の入力やリスト管理の手間を減らし、会話そのものに集中できるため、1人あたりの架電数や接続率がアップします。
オムニチャネルCTI
オムニチャネルCTIとは、電話だけでなくメール・チャット・SNSなど複数のコミュニケーションチャネルを統合して管理できるCTIです。
顧客とのやり取りを一元化することでチャネルごとの対応のばらつきをなくし、よりスムーズで一貫性のある顧客対応を実現します。
▼主な効果
- 電話・メール・チャット・SNSのやり取りを一画面で管理する
- 顧客ごとの履歴や問い合わせ内容を全チャネルで共有する
- 対応漏れや重複対応を防止する
- 通話録音やチャットログを教育・分析に活用する
顧客はどのチャネルを利用しても同じレベルの対応を受けられるため、満足度の向上につながります。
また、オペレーターは一つの画面で情報を把握できるため、業務効率も大幅に改善されます。
CTI導入はどれくらい費用がかかる?

CTIの導入費用は、機能・規模・提供形態によって大きく変わります。ここでは、費用の相場や費用の項目を解説します。
初期費用/月額費用の一般相場
CTIは、初期費用と月額費用が別で発生します。目安を把握しておくことで、自社に合ったCTIを無理なく導入できます。
| 導入形態 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安(1ユーザーあたり) | 特徴 |
| クラウド型 | 0円〜20万円 | 約3,000円〜15,000円 | サーバー構築不要でスモールスタート可能。機能拡張や席数増減も柔軟。 |
| オンプレミス型 | 数十万〜数百万円 | 保守費用が別途発生する | 自社システムやセキュリティ要件に柔軟対応。初期費用は高めだが長期運用で有利。 |
クラウド型CTIは初期費用が低く、まずは少人数から試してみたい企業に向いています。
一方、オンプレミス型は初期費用が高額ですが、独自機能や高セキュリティ要件が必要な場合に適しています。
導入の際は必要な機能・席数・運用形態を整理し、総コストをシミュレーションすることが成功のポイントです。
導入規模別の費用
CTIの導入費用は、席数や導入規模によって大きく変わります。クラウド型のCTIを導入した場合、目安は以下の通りです。
| 導入規模 | 席数 | 初期費用の目安 | 月額費用の目安(1ユーザーあたり) | 月額合計の目安 |
| 小規模 | 5席 | 0〜5万円 | 3,000円 | 約15,000円 |
| 中規模 | 20席 | 5〜10万円 | 5,000円 | 約100,000円 |
| 大規模 | 50席 | 10〜20万円 | 7,000円 | 約350,000円 |
小規模導の場合、初期費用をほとんどかけずにスモールスタートが可能です。
まずは基本機能だけを使って運用を試し、必要に応じて席数や機能を追加していく方法が有効です。
中規模〜大規模導入の場合、月額費用は増えますが、管理機能や分析機能をフル活用しやすくなります。人数の多いコールセンターなどで役立ちます。
CTIとCRM連携で実現する顧客対応の高度化
CTIは、単体ではなくCRMと連携させることで更なる効果を発揮します。ここでは、CTIとCRM連携で実現する顧客対応の高度化について解説します。
CRM連携による顧客体験向上
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)とは、企業が顧客との関係を管理・最適化するためのツールです。
顧客との接点で得られる情報を一元管理し、営業・マーケティング・サポートなどの業務に活用することで、顧客満足度や企業の成果向上を目指します。
CTIとCRMを連携させると、顧客からの着信時にCRM上に登録された「過去の問い合わせ履歴」「購入履歴」などを自動で表示できるようになります。
相手の状況を把握した上で的確に対応でき、オペレーターの負担軽減や顧客体験の向上が可能です。
営業活動ログとの統合管理
CTIとCRMを連携させることで、電話応対だけでなく営業活動全体のログを一元管理できるようになります。
営業チームの活動状況や顧客対応の履歴を統合的に把握でき、効率的かつ戦略的な営業活動が実現するのです。
具体的には、CTIで発着信した情報や通話内容をCRMに自動反映したり、顧客ごとの接触履歴や対応状況を一覧で確認したりできるのがポイント。
チーム全体の進捗や成果をリアルタイムで把握できるので、情報共有にも役立ちます。
顧客データ活用の事例
CTIとCRMを連携することで蓄積された顧客データは、単なる履歴管理にとどまらず、営業・マーケティング・サポートなどさまざまな業務改善に活用できます。
データを分析・活用しながら、顧客対応の精度向上や売上拡大につなげましょう。
| 活用分野 | 具体的な事例 | 効果 |
| 営業活動 | 過去購入履歴や問い合わせ履歴をもとに最適な提案を実施 | クロスセル・アップセルの増加、商談成立率向上 |
| マーケティング | 顧客属性や行動データを分析し、キャンペーン対象を最適化 | 効果的なプロモーションで反応率向上 |
| サポート | 問い合わせ内容や過去対応履歴を参照して迅速に対応 | 問い合わせ対応時間の短縮、顧客満足度向上 |
| 教育・改善 | 通話録音や対応結果を分析し、応対品質向上に活用 | 新人教育の効率化、チーム全体の応対レベル向上 |
顧客データを戦略的に活用することで、個々の顧客に最適なアプローチが可能となり、顧客満足度と営業成果の両方を高められます。CTIとCRMの連携は、データを最大限に活用するための基盤となっていくでしょう。
セキュリティ面の課題と対策
CTIは非常に便利なツールですが、セキュリティ対策をして強固な環境で使うことが大切です。ここでは、セキュリティ面の課題と対策について解説します。
音声データ保護
CTIを導入すると、通話内容の録音データが大量に蓄積されます。
この音声データには個人情報や機密情報が含まれることが多く、適切な保護が欠かせません。
データが漏洩した場合、顧客信頼の低下や法的リスクにつながるため、事前に対策を講じておきましょう。
▼主な対策
- 通話録音データの暗号化
- 保存期間の管理と不要データの安全削除
- 安全なクラウド環境やオンプレミスの堅牢化
- 定期的なバックアップの取得
音声データの保護は、顧客情報を安全に管理し、法令や社内ルールに準拠した運用を行うための必須事項です。CTI導入時にはセキュリティ対策を明確にして、運用に組み込みましょう。
アクセス権管理の重要性
CTIには、顧客情報や通話録音など機密性の高いデータが蓄積されます。
誰がどの情報にアクセスできるかを適切に管理し、情報漏洩や誤操作によるリスクを予防しましょう。
▼主な対策
- ロールごとのアクセス権設定(管理者・オペレーター・サポートなど)
- 不要な権限の制限・削除
- 定期的なアクセス権レビュー
- ログ管理によるアクセス状況の監視
アクセス権管理は、顧客情報や通話データを安全に扱い、社内ルールや法令に準拠した運用を実現するための基本です。権限を適切に管理することで、情報漏洩リスクを大幅に減らせます。
法令(個人情報保護法)への対応
CTIで取り扱う顧客情報も、もちろん個人情報保護法の対象となります。
法律に基づいた管理・運用を徹底し、罰則や顧客信頼の低下などのリスクを避けましょう。
▼主な対策
- 個人情報の取得目的を明確化し、利用範囲を限定
- 顧客情報の暗号化・安全な保管
- 利用・提供・削除に関する社内ルールの整備
- 定期的な社員教育と運用監査
顧客データを安全に扱い、信頼性の高い顧客対応を維持するための基本として法令をチェックしておきましょう。法令を遵守できるCTIにして、安全性を高めるのがおすすめです。
CTIはどんな企業におすすめ?
ここでは、CTIはどんな企業におすすめか解説します。自社に以下の業務があるときは、導入を前向きに検討してみましょう。
コールセンター
コールセンターでは、CTIを活用することで応対品質の向上や業務効率化、管理負荷の軽減が実現できます。
| 活用内容 | 具体例 | 効果 |
| 着信ポップアップ | 顧客情報や過去対応履歴を着信時に自動表示 | 応対スピードが向上し、顧客満足度アップ |
| 通話録音・自動文字起こし | 応対内容を自動録音・文字起こしして管理 | 教育・品質改善に活用でき、対応品質向上 |
| 自動発信 | 架電リストを基に自動で発信 | オペレーターの架電効率が向上し、接続率アップ |
| 通話履歴管理 | 発着信状況や対応結果を自動記録 | 管理工数削減、対応漏れ防止 |
| 応対状況の可視化 | オペレーターごとの稼働状況や対応状況を管理画面で確認 | 管理者による業務改善や負荷調整が容易に |
CTIの導入により、コールセンターは単なる電話応対窓口から、効率的かつ質の高い顧客対応の拠点へと進化します。
オペレーターの負荷を軽減しながら応対品質を安定的に維持できるため、顧客満足度向上や営業成果の拡大にも直結します。
営業組織
営業組織では、架電効率の向上や顧客情報の活用による成約率アップが期待できます。
特に、インサイドセールスやテレアポ業務のあるチームにおすすめです。
| 活用内容 | 具体例 | 効果 |
| 自動発信 | 顧客リストに基づき自動で架電 | 架電効率が向上し、1人あたりの接触件数が増加 |
| 顧客情報表示・CRM連携 | 過去の商談履歴や問い合わせ内容を即座に表示 | 顧客に最適な提案ができ、成約率向上 |
| 通話履歴・録音の分析 | 架電結果や通話内容を分析し、営業戦略に活用 | 効果的なトークやリスト改善で営業成果を最大化 |
| 折り返し管理 | 不在・折り返し対応を自動管理 | 商機損失や対応漏れを防止 |
| 活動状況の可視化 | オペレーター別の架電状況や成果をリアルタイムで把握 | 管理者が効率的に進捗管理・指導可能 |
CTIにより、営業組織は効率的な架電と顧客対応の質向上を同時に実現できます。
顧客情報を最大限に活用することで商談成功率やリピート率の向上にも直結し、営業活動全体の成果を底上げできます。
カスタマーサクセス
カスタマーサクセス(顧客成功)チームでは、CTIを活用することで顧客対応の質向上やフォローアップの効率化、継続利用・解約防止につなげられます。特に、SaaSや定期契約型サービスで効果が高いです。
| 活用内容 | 具体例 | 効果 |
| 顧客情報・契約状況の自動表示 | 着信時に契約内容や過去問い合わせ履歴を表示 | 顧客に合わせた最適な対応が可能、満足度向上 |
| フォローコールの自動管理 | 定期フォローや更新案内を自動リマインド・発信 | 対応漏れ防止、継続利用率向上 |
| 通話録音・文字起こし | 対応内容を記録し分析 | チーム内でナレッジ共有、対応品質の向上 |
| 問題対応履歴の統合管理 | 問い合わせやサポート履歴をCRMに集約 | 顧客対応の属人化を防止、引き継ぎもスムーズ |
| 対応状況の可視化 | 顧客ごとの対応進捗をリアルタイムで把握 | 管理者が迅速にサポート状況を把握・改善可能 |
CTIの導入により、カスタマーサクセスチームは顧客の状態や問い合わせ履歴を即座に把握でき、効率的かつパーソナライズされた対応を実現できます。
結果として、顧客満足度向上や解約率の低減、長期的な関係構築につながるのもポイントです。
SaaS事業者
SaaS事業者では、CTIを活用することで顧客対応の効率化と質の向上、契約更新やアップセルの促進が可能になります。
特にサブスクリプションモデルでは、顧客接点の最適化が収益に直結します。
| 活用内容 | 具体例 | 効果 |
| 顧客情報・利用状況の自動表示 | 着信時に契約内容や利用状況、過去の問い合わせ履歴を表示 | 顧客に合わせた提案やサポートが可能、満足度向上 |
| 契約更新・アップセルコールの自動管理 | 契約更新時期やアップセル対象を自動リマインド・発信 | 更新率・アップセル率の向上 |
| 通話録音・文字起こし | 対応内容を記録し分析 | ナレッジ共有や応対品質改善に活用可能 |
| 問題対応履歴の統合管理 | 問い合わせやサポート履歴をCRMで一元管理 | 引き継ぎがスムーズになり、顧客対応の属人化を防止 |
| 対応状況の可視化 | 顧客ごとの対応進捗をリアルタイムで把握 | サポートチームの管理・改善が容易に |
顧客の状況をリアルタイムで把握し、効率的かつパーソナライズされた対応をしたいときにCTIが便利です。
顧客満足度の向上や契約継続率の改善、アップセル促進といった成果が期待できます。
よくある質問
CTIに関する「よくある質問」を紹介します。
CTIはスマホでも使えますか?
クラウド型CTIであれば、スマホでも利用できます。
専用アプリやブラウザを経由し、スマートフォンから着信・発信・顧客情報の閲覧・通話履歴管理などができるのがポイントです。
インターネット回線は必要?
クラウド型CTIの場合、インターネット回線が必須です。
クラウド上のシステムにアクセスして通話や顧客情報の管理を行うため、安定した通信環境を準備しましょう。
何席から導入するべき?
導入するべき席数に、明確な基準はありません。
1席からでも導入できるので、自社に合う規模感で導入するのがよいでしょう。
電話対応が属人化している場合や折り返し対応や聞き間違いによるミスが多いときは、
1~2席からでも導入した方が良いかもしれません。
複数人で電話を取っていて情報共有が追いつかないときは3~5席での導入、取りこぼしや待ち時間が発生しているときは10席以上、などフレキシブルに判断しましょう。
まとめ
CTIは、電話とコンピューターを連携させ、電話業務を効率化する仕組みです。
着信ポップアップ、通話録音、自動発信、通話履歴管理、顧客情報表示などの機能により、オペレーターの業務負荷を軽減し、応対品質を向上させます。
クラウド型CTIなら初期費用を抑え、スマホやリモートでも利用できるのがポイントです。Comdesk Leadでは、CTIとCRMを連携させることで、架電・受電の履歴を自動で顧客情報に紐づけて管理でき、インサイドセールスの生産性向上や商談化率の改善につながります。
架電業務に課題を感じているのであれば、自社に合うCTIを探し、導入を検討してみましょう。