
現代のビジネスにおいて、顧客対応のクオリティは企業の信頼・売上に直結します。特にコールセンターやカスタマーサポートなど「顧客との接点が生まれる場所」では、効率的かつスムーズなコミュニケーションが求められるようになりました。
顧客コミュニケーションを最適化するツールとして、近年は「CTI(Computer Telephony Integration)」が注目を集めています。CTIを単体で使うだけでなく、PBXやCRMと連携させて使うことでより効率化が実現することも話題となりました。
本記事では、CTIとPBX・CRMの違いや連携によるメリットを解説します。
「CTIって聞いたことはあるけど、実際どう役立つの?」
「具体的にCTI連携がどんなシーンで便利なの?」
という方も、本記事を読めば、自社に最適なCTI連携や活用の手法が見つかるはずです。
CTI・PBX・CRMの違い

CTI・PBX・CRMは、顧客対応の質を向上させ、業務を効率化するツールであるという点で同一です。いずれもコールセンターやカスタマーサポートなどの現場で導入されることが多く、他システムと連携することで真価を発揮します。
ただし、それぞれのツールごとに機能や効果に違いがあるので注意しましょう。CTI・PBX・CRMの違いは、主に以下の通りです。
項目 | CTI | PBX | CRM |
役割 | 電話とPCの連携 | 通話の制御・管理 | 顧客情報の管理 |
主な機能 | 着信ポップアップ、通話録音、通話履歴連携など | 内線通話、外線発着信、通話の振り分けなど | 顧客データ管理、対応履歴、分析レポートなど |
連携対象 | PBX・CRMと連携して活用 | CTIと連携して通話機能を提供 | CTIと連携して情報を反映 |
効果 | 顧客対応の迅速化、業務効率の向上 | 通話インフラの整備、社内通話コスト削減 | 顧客満足度向上、営業活動の最適化 |
以下では、それぞれのツールについて詳しく解説します。
CTIとは
CTI(Computer Telephony Integration)とは、コンピュータと電話システムを連携させる技術です。通話と同時に顧客情報を表示したり通話内容を自動で記録・管理したりする機能が搭載されていて、電話対応をより効率化できます。
CTIの主な機能
- 着信時に顧客情報を自動表示(ポップアップ機能)
- 通話内容の録音・保存
- 通話履歴の自動記録・管理
- 自動発信(アウトバウンドコール)
- 着信のルーティング(担当者やスキル別に振り分け)
- CRMやPBXとの連携による情報一元化
- 通話中のメモ入力や対応ステータスの更新
- 応対内容のリアルタイム共有(SV・他部署向け)
CTI導入のメリット | 活用法 |
対応がスムーズになる | 電話着信時に顧客情報を自動表示し、すぐに状況を把握して対応する |
応対履歴が残る | 通話内容や対応履歴を自動で記録し、引き継ぎや過去対応の確認する |
対応品質の向上 | 通話録音や対応データにより、対応の見直しや教育に活用する |
業務の効率化 | 手作業や確認作業を減らし、オペレーターの負担軽減と対応時間を短縮する |
顧客満足度の向上 | 一貫性のある対応と迅速な処理により、顧客からの信頼を得る |
データ活用が可能 | 通話件数や対応時間などの数値を基に、業務改善やスタッフ評価をする |
例えば、着信時に顧客情報を自動表示できれば「電話先の顧客が誰か」「過去にどんなやり取りがあったか」を一目で把握できます。PBX・CRMと連携して活用することで、より高い効果を発揮します。
PBXとは
PBX(Private Branch Exchange)は、社内の電話交換機のことを指します。簡単にいうと、会社や組織内の内線電話をつなげたり外部の電話回線とつなげたりするシステムです。
PBXの主な機能
- 内線通話の接続・管理
- 外線電話の発着信制御
- 通話の転送・保留機能
- 留守番電話・ボイスメール機能
- 自動応答(IVR)システムの導入
- 複数回線の効率的な利用
- 通話履歴の管理・記録
- 会議通話(電話会議)機能
- 発信制限や通話制限の設定
PBX導入のメリット | 活用法 |
通話管理の効率化 | 内線同士のスムーズな連絡で部署間や拠点間の連携を強化する |
コスト削減 | 回線共有や発信制限で電話料金や設備費用を削減する |
通話機能の充実 | 自動応答や転送、保留など多彩な機能で業務をサポートする |
業務の柔軟性向上 | 内線数や機能の追加・変更で組織の変化に対応する |
通話品質の安定 | 専用機器やクラウドによる安定した通話環境を確保する |
監視・管理がしやすい | 通話履歴や使用状況を管理し、業務改善やトラブル対策に活用する |
PBXは、自動振り分け・留守番電話・会議通話などの活用法を通じて、顧客対応の質向上や業務の円滑化に貢献します。CTIと連携することで、PBXで振り分けた電話がPC上で処理できるなど多機能性を上げられるのもポイントです。
CRMとは
CRM(Customer Relationship Management)とは「顧客関係管理」を意味する用語であり、顧客との関係を深めるための仕組みを指します。顧客情報を一元管理し、顧客のニーズや履歴を把握することで顧客満足度の向上や売上アップを目指すのが特徴です。
CRMの主な機能
- 顧客情報の一元管理(連絡先・属性・履歴など)
- 営業案件や商談の管理・進捗把握
- 顧客対応履歴(問い合わせ・サポート記録など)の記録
- マーケティングキャンペーンの実施・効果測定
- 顧客分析とセグメント分け(ターゲティング)
- タスクやスケジュール管理(営業活動の計画)
- 見込み顧客(リード)の管理
- レポート作成・ダッシュボードによる可視化
- 顧客満足度の追跡と改善施策の実行
- 他システム(CTI・PBXなど)との連携
CRM導入のメリット | 活用法 |
顧客情報の一元管理 | 営業・サポート・マーケティングで同じ顧客情報を共有し連携を強化する |
営業活動の効率化 | 商談の進捗管理やタスク管理で営業の計画・実行をスムーズにする |
顧客対応の質向上 | 問い合わせ履歴や対応内容を把握し、的確なフォローや提案をする |
顧客分析でマーケティング効果向上 | 顧客属性や購買履歴を分析し、効果的なキャンペーンを実施する |
見込み顧客の管理がしやすい | リード情報を一元管理し、効率的に育成や営業活動をする |
データを活用した改善 | レポートやダッシュボードで状況を可視化し、業務改善に役立てる |
CRMは、コールセンターだけでなく営業やマーケティングの現場で使われることも多いツールです。顧客データを分析して効果的なマーケティング施策を立てられるため、企業の成長を支えるツールとして注目を集めるようになりました。
CTIやPBXと連携すると電話応対から顧客管理までシームレスに情報を活用できるようになり、業務のさらなる効率化が期待できます。
CTI連携とは
CTI連携とは、PCと電話の連携システム(CTI)と、電話システム(PBX)および顧客管理システム(CRM)などをつなげることを指します。CTI連携により、以下のような効率化が実現します。
CTI連携による効率化の例
- 着信と同時に顧客情報が画面に表示される
→ オペレーターはすぐに顧客の状況を把握し、スムーズに対応できる - 通話履歴や対応内容が自動で記録される
→ 手入力の手間がなくなり、記録漏れやミスを防止できる - ワンクリックでの発信が可能になる
→ 顧客リストから直接電話をかけられ、作業時間を短縮 - 通話の録音やモニタリングが簡単にできる
→ 品質管理や教育に役立ち、サービスの質を向上させる - 対応履歴の共有でチーム内連携がスムーズに
→ 担当者変更時も引き継ぎが簡単で、顧客満足度が向上
以下で、CTI連携の概要を解説します。
CTI連携に必要なもの
CTI連携には、複数のツールが必要です。まずは最低限必要なものを揃えましょう。
- CTI
電話システムとパソコンのアプリケーションをつなげる役割を果たします。 - PBX
電話の発着信や通話管理をするシステム。CTI連携の基盤となります。 - CRM
顧客情報や対応履歴を管理し、CTIと連携して情報を表示・記録します。 - ネットワーク環境
PBX・CTI・CRM間のデータ通信を支える安定したネットワークが必要です。 - 対応アプリケーション・インターフェース
APIや連携用の接続ツールがあり、システム同士をスムーズにつなぎます。 - 対応端末(パソコン・電話機・電話回線)
オペレーターが使うPCや電話機。CTI連携対応の端末が求められます。
まず、電話回線があってはじめて音声通話ができます。通話を管理する役割を担うのがPBX(電話交換システム)であり、CTIと連携することで電話の情報とパソコン上のシステムが連携されます。さらにCRMと連携すれば、電話の応対履歴や顧客情報を一元管理できるようになり、後々の参照や分析も楽になります。
システム間のデータ通信を支える安定したネットワーク環境と、システム同士をスムーズにつなぐAPIなど連携用のインターフェースも欠かせません。そして、実際に操作する対応端末(パソコン・電話機)が揃うと、効率的なCTI連携が実現します。
CTI連携する代表的な手法
CTI連携するときは、「PBXやCRMのシステムと直接連携する」または「カスタマイズや開発による連携をする」いずれかの手法を採用します。以下でそれぞれについて解説します。
PBXやCRMのシステムと直接連携する
CTIがPBXやCRMとダイレクトにデータのやり取りができるよう、直接連携する手法です。中間に別のソフトウェアやサービスを介さずに、それぞれのシステム同士が直接連携している状態といえます。
- PBXとの直接連携
CTIシステムがPBXのAPIやプロトコルを利用して電話の発着信情報をリアルタイムで受け取る。着信時の情報取得や発信制御が迅速かつ正確に実行される。 - CRMとの直接連携
CTIがCRMのデータベースやAPIにアクセスし、顧客情報の表示、通話履歴の登録、営業情報の更新などを直接実行する。中間システムなしでリアルタイムな情報反映ができる。
直接連携するメリットは、高速で安定した連携になることと柔軟性の高さにあります。個別の業務要件に合わせて細かい制御や情報のやり取りが実現でき、複数人が同時に同じシステムを使う大規模コールセンターなどと相性がよいのが特徴です。
カスタマイズや開発による連携をする
企業の業務や運用に合わせて、CTIシステム・PBX・CRMなどの各システムを独自にカスタマイズ・開発して連携させる手法もあります。標準機能や既存の連携ツールでは対応しきれない複雑な業務フローを構築するときは、カスタマイズやゼロベースからの開発を検討しましょう。
- APIやSDKを活用した連携開発
各システムの公開しているAPIやSDKを利用して、データの取得・登録・更新や通話制御などを自由に設計・実装する。 - 独自のユーザーインターフェース(UI)作成
オペレーターが使いやすい画面や操作フローをカスタマイズして、業務効率やユーザー体験を向上させる。 - 複数システムの複雑な連携
CTI・PBX・CRMに加え、他の業務システムやデータベースとも連携し、情報を一元管理するケースもある。 - 特殊な業務要件対応
例えば、特定の通話ルール、複雑なワークフロー、独自のレポート作成など、標準連携では実現できない機能を開発する。
カスタマイズや開発をするメリットは、自社の業務に完全にフィットした連携ができる点にあります。業務効率や顧客対応の質を最大限に高めやすく、将来的な拡張や機能追加にも柔軟に対応できるのがポイントです。
一方、開発コストや期間がかかる場合が多く、システム間の整合性や保守管理が複雑になるケースもあるので注意しましょう。開発には専門的な技術者や外部ベンダーの協力が欠かせません。
CTI連携をするメリット

CTI連携を導入することで、電話応対の効率化だけでなく、顧客情報の一元管理やオペレーターの業務負担軽減など、多くのメリットが得られます。ここでは、具体的にどのような効果が期待できるのか、詳しくみていきましょう。
顧客対応の効率化・パーソナライズ化
CTI連携によって、電話がかかってきた瞬間に顧客の情報がすぐにわかるようになることがメリットです。
- 顧客情報の自動表示
着信と同時に顧客の過去履歴や購入情報が画面に表示され、検索時間を削減。 - 迅速かつ正確な対応
必要な情報をすぐに把握できるため、対応時間が短縮されミスも減少。 - パーソナライズされたサービス提供
顧客の嗜好や過去の問い合わせ内容に応じた個別対応が可能。 - 顧客満足度の向上
的確でスムーズな対応により、顧客の信頼を獲得しやすくなる。 - リピーター獲得や関係強化
継続的な良好なコミュニケーションを通じて、長期的な顧客関係を築く。
オペレーターが顧客情報を探す手間を省けるので効率のよい対応ができるほか、一人ひとりの顧客に合わせた丁寧な対応ができ、対応時間の短縮と満足度の向上が同時に実現します。
営業活動の質向上
CTI連携によって顧客情報や通話履歴がリアルタイムで共有されることで、営業担当者はより深い理解をもって顧客とコミュニケーションができるようになります。
- 顧客情報の即時共有
過去の購入履歴や問い合わせ内容を把握した上で、的確な提案ができる。 - 通話履歴の自動記録
営業のやり取りを正確に記録し、次回の対応に活用できる。 - 効果的なフォローアップ
通話内容や顧客の反応を基に、適切なタイミングでアプローチできる。 - 営業トークの改善
通話データの分析で成功パターンを抽出し、トークスクリプトを最適化できる。 - 無駄な作業の削減
情報検索や入力の手間を省き、本来の営業活動に集中できる。
通話内容の記録や顧客の反応データを分析することで、営業手法の改善や効果的なトークスクリプトの作成にもつながります。結果として、営業効率の向上だけでなく顧客満足度の向上も期待できます。
データ活用の促進
CTI連携により通話内容・顧客情報・対応履歴などのデータが自動で収集・蓄積されるため、データを活用して業務改善や戦略立案ができます。
- 通話・顧客データの自動収集
人手をかけずに正確なデータが蓄積される。 - 顧客ニーズや傾向の把握
データ分析により、顧客ごとの特徴や購入パターンを理解できる。 - 営業・マーケティング施策の最適化
データを基に効果的なプロモーションや営業戦略を策定可能。 - 組織内での情報共有
蓄積データを全社で活用し、対応の質を均一化・向上させる。 - PDCAサイクルの実践
データを活用した改善活動を継続的に実行し、業務効率を高める。
蓄積されたデータは社員間で共有されるため、組織全体での情報の一元管理が進むこともメリットです。誰がいつ見ても同じ情報にアクセスできるので、社内情報格差が発生することもありません。
オペレーターの負担軽減
CTI連携により電話応対に必要な顧客情報が自動で表示されるため、オペレーターは情報検索や手動入力の手間から解放されます。
- 顧客情報の自動表示
通話開始時に必要な情報が瞬時に画面に表示され、情報を探す手間が省ける。 - 通話履歴や対応内容の自動記録
手動での入力作業が不要になり、作業時間を短縮できる。 - ワンクリック発信機能
顧客リストから直接発信でき、発信作業が簡単になる。 - 通話テンプレートやガイドの活用
対応内容を効率化し、ミスやストレスを軽減できる。 - 業務に集中できる環境づくり
雑務を減らし、質の高い顧客対応に注力できる。
通話の録音や履歴の自動記録機能を使えば、対応内容の記録作業に割く時間を短縮できるので、残業抑制など働き方改革の一環としてCTI連携する企業もあります。オペレーターはより集中して質の高い対応に専念でき、ストレスやミスの減少にもつながるのがポイントです。
【業界別】CTI連携の効果的な活用事例

CTI連携は、業種や業務内容に応じてさまざまな形で活用されています。
ここでは、業界別にどのようにCTIが活かされているのか、具体的な活用事例を業界別にご紹介します。導入のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
EC・通販業界での活用事例
EC・通販業界では、電話応対時に顧客の注文履歴・配送状況・問い合わせ履歴などを即座に画面表示するCTI連携にすることが多いです。
- 注文確認や配送状況の即時対応
顧客が注文番号を覚えていなくても、電話番号や氏名で照合しスムーズに案内できる。 - 問い合わせ履歴の可視化
以前の問い合わせ内容や対応者が確認できるため、二重対応や説明の食い違いを防止できる。 - 顧客ごとの対応履歴を基にパーソナライズ
過去の購入傾向から、関連商品やキャンペーン情報を提案し、アップセルにつなげる。 - 繁忙期の対応効率向上
セールや年末商戦などで問い合わせが急増する時期も、オペレーターの負担が最小限になる。
「問い合わせ対応の時間がかかり、クレームが増加していた」
「複数のオペレーターで情報共有ができていなかった」
などの課題を解消する目的で導入されることも増え、スピード対応と顧客満足度の向上を同時に実現するとして話題になりました。
金融・保険業界での活用事例
金融・保険業界では、顧客の契約情報・過去の問い合わせ履歴・対応履歴などを即座に確認できるCTI連携が広く活用されています。
迅速かつ正確な対応が求められる業界のため、信頼性とセキュリティを確保しつつ業務効率を高める目的で導入が進んでいます。
- 契約内容の即時照会
電話番号や顧客番号を基に契約内容を即座に確認でき、更新案内や保険内容の説明がスムーズになる。 - 過去の対応履歴の自動表示
過去に誰がどのような対応をしたかが確認でき、重複対応や誤案内を防止できる。 - 情報漏えい防止・セキュリティ強化
CTIが通話ログを残し、CRMと連携することで、対応の透明性と内部統制を確保できる。 - 顧客ニーズに基づいた提案営業
問い合わせ履歴や保険加入状況を基に、補償の見直し提案や新サービスの案内ができる。
「顧客の情報を正確に把握できず、対応ミスが発生していた」
「通話内容の証跡が残らず、対応の透明性に課題があった」
といった課題を背景に、CTI連携の導入が進んでいます。対応品質と信頼性の両立を実現する手段として、今や業界の標準的な仕組みになりつつあるので注目してみましょう。
不動産業界での活用事例
不動産業界では、問い合わせ対応のスピードや顧客ごとの希望条件の正確な把握が営業成果に直結します。CTI連携により、通話と同時に顧客情報・過去の問い合わせ履歴・希望エリア・予算などが画面に表示され、タイムリーで的確な対応が実現します。
- 顧客の希望条件や履歴を即時表示
物件希望エリア、間取り、予算などの登録情報を通話開始と同時に確認できる。 - 過去の問い合わせ・来店履歴の確認
「初回か再訪か」「前回どの物件を紹介したか」などを把握し、対応の精度が向上する。 - 追客業務の効率化
通話履歴と連動して、見込み顧客へのフォロータイミングを管理しやすくなる。 - 空室・物件情報の即時案内
社内システムと連携することで、空き状況や類似物件を即時に提示できる。
「問い合わせ内容を毎回確認するのに時間がかかっていた」
「顧客情報が紙や別システムに分散していて、対応にムラがあった」
といった課題を解消するために、CTI連携の導入が進んでいます。顧客一人ひとりに合った物件提案と、素早く丁寧な対応を両立する仕組みとして注目されています。
医療業界での活用事例
医療業界では、患者の予約状況や診療履歴を正確に把握したミスのない応対が求められます。CTI連携により着信時に患者情報が自動表示されることで、スムーズな受付対応・再診予約・問い合わせ対応が実現します。
- 患者情報・予約履歴の即時表示
電話番号から患者を特定し、予約日・診療科・過去の受診履歴などを通話前に確認できる。 - 再診・予約変更の対応がスムーズに
再診希望や予約キャンセルの連絡にも即時対応でき、患者の待ち時間や負担を軽減する。 - 誤対応・聞き間違いの防止
過去の通話履歴や対応メモが残るため、受付ミスや確認漏れが起きにくくなる。 - 患者ごとの対応履歴に基づいた案内
診療内容や過去の問い合わせ履歴を基に、検査案内や服薬指導などを丁寧にサポートする。
「患者情報を探すのに時間がかかっていた」
「予約や変更の連絡が多く、受付業務が煩雑になっていた」
といった課題を背景に、CTI連携の導入が進んでいます。医療の現場に求められる正確性と安心感を支える仕組みとして、高く評価されました。
人材紹介業界での活用事例
人材紹介業界は、求職者や企業とのやり取りが頻繁でありながら、スピードと正確性が成果に直結します。CTI連携で電話がかかってきた瞬間に登録者の情報や過去の面談履歴・応募状況を確認できるため、無駄のない対応と精度の高いマッチングが可能になります。
- 求職者の登録情報・希望条件を即時表示
電話番号から氏名、希望職種、勤務地、スキルなどの情報を自動で表示し、スムーズに対応できる。 - 過去の面談・応募履歴の確認
どの求人に応募したか、どの企業と面談したかを把握し、的確なキャリア提案につなげる。 - 企業ごとの採用状況を共有
採用担当者からの問い合わせ時に、応募者の進捗や対応履歴を即時確認できる。 - フォロー連絡の効率化
通話履歴や対応メモと連動し、定期連絡や進捗確認のタイミングを自動管理する。
「対応履歴がバラバラで、進捗確認に時間がかかっていた」
「登録情報と照合に手間がかかり、折り返し対応になることが多かった」
などの課題を解消するためにCTI連携の導入が進んでいます。迅速なマッチングと丁寧なフォローを両立する手段として、現場から高い評価を得ています。
CTI連携をするステップ

CTI連携はただ導入すればよいわけではなく、計画的に段階を踏んで進めることが成功の秘訣です。
ここでは、準備から運用・改善まで、効率的かつ確実に進めるための具体的なステップを解説します。これを参考に、効果的なCTI連携を実現しましょう。
現状の電話業務とシステムを把握する
CTI連携をスムーズに進めるためには、まず現在の電話業務や利用中のシステムの状況を正確に把握する必要があります。現場のオペレーターや管理者から実際の運用方法や課題をヒアリングし、どのようなフローで電話対応をしているか、詳しく調査しましょう。
具体的には、以下について可視化するのがおすすめです。
- 電話の着信から応対、終了までの流れ
- 使用しているPBXやCRMの種類と機能
- 問題となっている点(応答の遅れ、情報共有の不足など)
- オペレーターの操作方法や負担の大きさ
現状について詳しくわかると、CTI連携によりどの部分を改善すべきか明確になります。また、既存システムとの連携の難易度や必要なカスタマイズの範囲も見えてくるため、次のステップであるシステム選定や設計に役立ちます。
CTI・PBX・CRMシステムを選定する
CTI連携の効果を最大化するためには、自社の業務内容・規模・既存のIT環境に合ったシステムを慎重に選定することが不可欠です。システム選定では、単に機能が豊富なものを選ぶのではなく、実際に使う現場のニーズや導入後の運用負荷も考慮しましょう。
また、トライアルやデモを活用する方法もあります。適切なシステムを選ぶと、CTI連携の導入効果を最大限に引き出し、業務効率化や顧客満足度向上が実現します。
連携設計とカスタマイズをする
CTI連携を成功させるためには、システム同士の連携設計を徹底し、自社の業務フローに合ったカスタマイズにすることが重要です。
単に標準機能を使うだけでは現場のニーズに完全に応えられない場合も多いため、業務の効率化や顧客対応の質向上を目指すなら設計段階で細かい仕様を詰めておく必要があります。
例えば、以下の観点でCTIシステムを見ておくと、落とし穴がないかチェックしやすくなります。
- 電話の着信時に顧客情報を自動表示する画面設計
- 通話履歴や対応内容の自動記録機能の設定
- オペレーターが使いやすい操作画面のカスタマイズ
- PBXやCRMシステムとの連携部分でのデータ連携ルールの確定
- 業務の特殊要件に合わせた独自機能の追加
必要に応じてシステム開発やカスタマイズをすると、導入後のトラブルを減らし、現場の業務にフィットした使いやすいシステム環境を構築できます。連携設計とカスタマイズは、CTI連携の成果を左右します。
導入とテスト運用をする
CTI連携システムの導入は、本格的な運用前にテスト運用をすることが成功のポイントです。導入時にはシステムの設置や設定を正確に実行し、実際の電話業務で試験的に運用して問題点を洗い出します。
テスト運用でチェックすべきポイントは、主に以下の通りです。
- 顧客情報の自動表示や通話履歴の記録が正しく実行されているか
- システム間の連携がスムーズに動作しているか
- オペレーターが操作に戸惑わず使いこなせているか
- 通話品質やシステムの安定性に問題がないか
問題が見つかった場合は速やかに調整や修正をして、導入環境を最適化します。テスト運用期間を設けることで本格稼働後のトラブルを減らし、スムーズな運用開始につなげられます。
スタッフの教育体制を整える
CTI連携システムの効果を最大限に引き出すには、システムを操作するスタッフへの適切な教育が欠かせません。導入後に使いこなせなければ、業務効率化や顧客対応の質向上は期待できないので注意しましょう。
例えば、以下のような施策が有効です。
- 導入前に操作方法や業務フローの研修を実施し、基本スキルを習得させる
- マニュアルやFAQを整備し、現場でいつでも参照できるようにする
- 導入後も定期的にフォローアップ研修を実施し、習熟度を維持・向上させる
- オペレーターからのフィードバックを集めて教育内容やシステム改善に反映する
教育体制を整えると、スタッフの不安や疑問を解消しやすく、円滑なシステム運用と質の高い顧客対応を実現できます。教育は一度きりではなく継続的に実施しましょう。
本格運用をスタートさせる
テスト運用を経てシステムの問題点を解消したら、いよいよCTI連携の本格運用を開始します。本格運用では、全てのオペレーターがシステムを日常業務に組み込み、顧客対応や業務効率化を実践していきます。
運用開始時には、特に以下の点を意識しましょう。
- システムの動作状況や通話品質を継続的にモニタリングする
- スタッフからの問い合わせやトラブルに迅速に対応できる体制を整備する
- 進捗や問題点を管理者が把握し、必要なサポートを提供する
まずは、安定した運用を支える体制づくりが重要です。現場の混乱を防ぎつつ、CTI連携による効果を最大限に引き出せます。
効果測定と改善を繰り返す
CTI連携の導入はスタート地点に過ぎません。導入後は定期的に効果を測定し、課題を洗い出して改善を続けることが、成功のカギとなります。
以下のようなチェック項目を設け、定期的に自社の運用状態を可視化するとわかりやすいです。
- 応答速度や通話件数、顧客満足度などのKPI(重要業績評価指標)を設定し、定期的に数値をチェックする
- スタッフや顧客からのフィードバックを収集し、実際の運用状況を把握する
- 問題点や改善点を分析し、システムの設定変更や運用ルールの見直しをする
- 新たなニーズや業務変化に応じて、追加のカスタマイズや機能拡張を検討する
PDCAサイクルを回しながら運用を続けることでCTI連携の効果を最大限に高め、顧客対応の質と業務効率を継続的に向上させられます。
CTI連携を成功させるポイント

CTI連携は便利な仕組みですが、導入しただけで成果が出るわけではありません。システム選定・設計・現場への定着まで確実にポイントをおさえることで、効果を最大限に引き出します。
ここでは、CTI連携を円滑に進め、業務改善につなげるための具体的なポイントを解説します。
目的を明確化してから導入する
CTI連携を成功させるためには、まず何のために導入するのか、目的をはっきりさせることが不可欠です。単に最新のシステムを導入するだけでは、現場のニーズに合わず効果が薄れてしまうこともあるので注意しましょう。
例えば、以下のように自社の課題を明確にして、やりたいことをリストアップするのが近道です。
- 電話応対のスピードを上げて、顧客の待ち時間を短縮したい
- 営業スタッフが効率よく情報共有できる仕組みを作りたい
- 顧客ごとに適切な提案ができるように顧客満足度を高めたい
- オペレーターの業務負担を減らして、ミスやストレスを軽減したい
目的がはっきりすれば、適した機能やシステム要件を選びやすくなります。導入後の効果測定がしやすくなったり、社内での共通認識ができたりするためプロジェクト全体がスムーズに進んだりする効果も発揮されます。
自社に合うシステムを選定する
CTI連携を効果的にするには、自社の業務形態や課題にマッチしたシステムを選ぶことが重要です。規模・業種・既存のIT環境・オペレーターのスキルレベルなどを踏まえ、柔軟に対応できるかどうかを見極めましょう。
- 対応可能な通話量・ユーザー数
自社のコール数や利用者規模に適したシステムか確認する。 - 既存システムとの連携性
PBXやCRM、他の業務システムとスムーズに連携できるか。 - 操作性の良さ
オペレーターや管理者が使いやすい画面設計かどうか。 - 導入・運用コスト
初期費用だけでなく、保守やアップデートの費用も考慮する。 - サポート体制の充実度
トラブル時の対応や、導入時の教育サポートが充実しているか。 - 拡張性・カスタマイズの柔軟性
将来的な業務変化に合わせて機能追加や変更が可能か。 - セキュリティ対策の有無
顧客情報を扱うため、十分なセキュリティ対策が施されているか。
上記のポイントでCTIや連携システムを比較・検討することで、導入後に無理なく運用できるシステムを選べます。適切なシステム選びは、CTI連携の成功と長期的な業務効率化につながる大切なステップです。
導入後の運用体制を構築しておく
CTI連携システムは導入して終わりではなく、継続的に活用し改善していくことが成功のカギとなります。省人化しながらメンテナンスができるよう、運用体制をあらかじめ整えておくことが欠かせません。
具体的には、以下のことを検討してみましょう。
- システム管理者や担当者を明確にし、トラブル時の対応窓口を設ける
- オペレーターに対する定期的な操作教育やマニュアルの整備をする
- 導入効果を測定するための指標(KPI)を設定し、定期的に見直す
- 利用状況や問題点を共有する場を設け、改善策を継続的に検討する
万全の運用体制を構築することでシステムの安定運用と業務改善が促進され、CTI連携の効果を最大限に引き出せるようになります。特に、初期のオンボーディングをしっかりすることが、長期的な成功につながります。
社内教育も同時に進める
CTI連携システムの効果を最大化するには、システムを使うスタッフへの適切な教育が欠かせません。操作方法や業務フローの理解が不十分だと、導入の効果が半減してしまうためです。
- 導入前の集中トレーニングで基本操作や活用方法を習得させる
- マニュアルやFAQの整備でいつでも参照できる環境を作る
- 定期的なフォローアップ研修や操作スキルの確認テストを実施し、理解度を維持・向上させる
- 現場からのフィードバックを集める仕組みを作り、教育内容や業務プロセスの改善につなげる
教育体制を整えることでスタッフの習熟度が上がり、システムの運用がスムーズになります。スタッフがストレスフリーにシステムを使いこなせるようになれば、結果的に顧客対応の質も向上するのがポイントです。
また、新入社員が入ってきたときのオンボーディングもしやすく、自社のCTI活用ノウハウとして蓄積することで大きな財産となっていくでしょう。
まとめ
CTI、PBX、CRMはいずれも顧客対応や業務効率化に欠かせないシステムですが、それぞれ役割が異なります。
CTIは電話システムと顧客管理システムを連携させることで、通話と顧客情報をリアルタイムに結びつける役割を果たします。PBXは主に電話の発着信や内線管理を担う通信インフラ、CRMは顧客情報や履歴を一元管理して営業やサポートを支援するツールと理解するのが近道です。
CTI連携に成功すると、以下のようなメリットを得られます。
- 電話応対の迅速化と精度向上
- 顧客情報の即時表示によるパーソナライズ対応
- 営業・サポート活動の効率化と質の向上
- オペレーターの負担軽減
CTI・PBX・CRMの強みを最大限に活かした顧客対応体制を構築し、顧客満足度を上げながら業務効率化やストレスフリーな働き方も叶えていきましょう。
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