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2025.12.24
CTI

【初心者向け】Amazon ConnectをCTIとして使う方法は?他システムの連携も紹介

amazon connect cti

コールセンターや問い合わせ対応の効率化を検討する中で、「CTIを導入したいけれど、何から始めればいいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

近年注目を集めているのが、クラウド型コンタクトセンターサービスである「Amazon Connect」です。

小規模な問い合わせ窓口から本格的なコールセンターまで、「Amazon Connect」をCTIとして使う手法が広がりました。

本記事では、「Amazon Connect」をCTIとして利用する基本的な方法を解説します。

Amazon Connectとは?

Amazon Connectとは、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウド型のコンタクトセンターサービスです。

インターネット環境があれば利用でき、電話対応を中心としたCTIとしても活用できます。

Amazon社内のカスタマーサポートで培われたノウハウをもとに開発されたシステムであり、着信振り分け(IVR)・通話録音・オペレーター管理など基本機能を網羅しているのも特徴です。

オンプレミス型のPBXやCTIのような大がかりな設備を必要とせず、比較的短期間・低コストで導入できる点も魅力として広がりました。

クラウドPBXとしての特徴

Amazon Connectは、クラウドPBXとしても活用できるのがポイントです。

クラウドPBXとしての特徴は、以下の通りです。

  • 場所に縛られない利用環境
  • 拡張・縮小が簡単
  • 従量課金制で無駄が出にくい
  • CTIとの親和性が高い

従来のオンプレミス型PBXのように物理機器を設置する必要がなく、インターネット環境があればすぐに利用を開始できる点が大きな特徴です。

オフィス・自宅・サテライト拠点などでも同様の環境を構築できるので、場所を問わず同じ電話環境にしたいときに活用してもよいでしょう。電話環境の見直しやクラウド化を検討している企業にとって、検討する価値のある選択肢となっています。

AI(Amazon Lex / Amazon Transcribe)との連携

Amazon Connectは、Amazon LexやAmazon Transcribeなど、AIサービスと連携できる点も大きな強みです。Amazon LexとAmazon Transcribeは、以下の機能・特徴を持つAIツールです。

サービス名主な機能特徴活用シーン例
Amazon Lex音声・テキストの自然言語理解(NLU)による対話型AI・音声/テキストの両方に対応・自然な会話フローを構築可能・Amazon Connectと標準連携・自動音声応答(IVR)・問い合わせ内容の事前ヒアリング・チャットボット/ボイスボット
Amazon Transcribe音声データの自動文字起こし・高精度な音声認識・リアルタイム/録音後の文字起こしに対応・日本語を含む多言語対応・通話内容の記録・ログ化・対応品質のチェック・FAQやナレッジの作成

Amazon Lexは「会話を理解してやり取りするAI」、Amazon Transcribeは「音声を正確にテキスト化するAI」として活用されています。

Amazon Connectでできること

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ここでは、Amazon Connectでできることを解説します。具体的にどんな機能が使えるようになるのか、チェックしてみましょう。

顧客情報ポップアップ

顧客情報ポップアップとは、着信と同時にオペレーターの画面上へ顧客情報を自動表示する機能です。

例えば、入電と同時に以下のような情報を画面上に表示します。

▼顧客情報ポップアップで表示されること

  • 氏名・電話番号
  • 過去の問い合わせ履歴
  • 契約内容・利用状況
  • 対応中の案件情報

「お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」から始める必要がなくなり、早めに本題に入れるのがポイント。

また、過去のクレームや購買履歴も全てわかるので、対応品質の向上が実現します。

通話録音&文字起こし

通話録音&文字起こしは、オペレーターと顧客の会話をそのまま記録し、音声とテキストの両方で残せる機能です。

手動操作が不要で稼働するため録音忘れもなく、録音データはクラウド上で安全に保管されます。

必要な通話だけを後から検索・再生したり、検索してピンポイントな情報だけ引き出したりすることもでき、便利な機能として定着しました。

また、Amazon Transcribeと連携して、以下のような対応に役立てている企業も多いです。

  • 応対内容の確認・振り返り
  • クレームや重要発言の可視化
  • オペレーター教育・品質改善

音声だけでは把握しづらかった情報も、テキストになることで分析・共有しやすくなります。

IVR(音声自動応答)

IVR(Interactive Voice Response・音声自動応答)とは、電話をかけてきた顧客に対して自動音声で案内を行い、用件に応じた振り分けを行う仕組みです。

Amazon Connectでは、柔軟で拡張性の高いIVRをノーコード感覚で構築できます。

「〇〇の方は1番を、△△の方は2番を…」と流れる自動アナウンスのことと理解しておきましょう。

その他、営業時間・混雑状況・よくある問い合わせへの回答を自動応対させることも可能です。

その後、担当部署ごとの振り分けやスキルを持つオペレーターへの接続も自動で実行してくれるので、オペレーターの負担軽減にもつながります。

キュー管理&スキルルーティング

キュー管理とスキルルーティングは、オペレーター配置と通話振り分けの最適化を実現する機能です。

キューとは「電話の待ち行列」のことであり、キュー内での待機状況をリアルタイムで管理したり、優先度や緊急度に応じて順番を調整したりできます。

顧客の問い合わせ内容に応じて最適なオペレーターに自動で振り分ける仕組み(スキルルーティング)を使えば、その後も最適な振り分けが可能です。

結果として対応時間の短縮と質の高い顧客対応が実現し、「待ちが長くなってクレームが出る」「たらい回しにされた顧客が離れてしまう」などのトラブルも起きません。

必要なときに必要な人につなぐ、自動化の中核機能として活用しましょう。

ダッシュボード分析

ダッシュボード分析は、Amazon Connectに蓄積された通話データやオペレーターの対応状況を、リアルタイム・過去データの両方で可視化する機能です。

例えば、以下のような項目について自動で分析できます。

  • どの時間帯に電話が集中しているか
  • 通話対応時間や処理件数が増減しているか
  • 待ち行列の長さが解消されているか
  • オペレーターのスキルが偏っていないか

応答率向上や待ち時間短縮など運営の改善に直結するほか、オペレーターのパフォーマンス管理や教育に活用することも可能です。

データに基づいた意思決定で顧客満足度を高めたいときにこそ、活用しましょう。

Amazon Connectに対応している連携サービス一覧

ここでは、Amazon Connectに対応している連携サービスを紹介します。

連携サービス特徴・サービス概要
Salesforce世界的に普及しているCRMプラットフォーム。顧客情報管理や営業支援に強みがある。
Zendeskサポート業務に特化したクラウド型チケット管理システム。直感的な操作性が特徴。
ServiceNowITサービス管理(ITSM)や業務プロセス改善に強いエンタープライズ向けプラットフォーム。
kintoneノーコードで業務アプリやデータベースを構築できるクラウドサービス。柔軟性が高いのが特徴。
Amazon AppIntegrationsAWSサービスやクラウドアプリをノーコードで接続できる。シンプルな統合を実現したいときに。

以下では、それぞれの特徴を解説します。

Salesforce

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Salesforceは、世界中で広く利用されているクラウド型CRM(顧客関係管理)プラットフォームです。

項目内容
サービス名Salesforce(セールスフォース)
サービス種類クラウド型CRM(顧客関係管理)プラットフォーム
提供形態クラウドサービス
主な機能営業支援(SFA)、マーケティング自動化、カスタマーサポート、分析・可視化
特徴– 顧客情報の一元管理- 拡張性・カスタマイズ性が高い- レポート・ダッシュボードによる可視化- AI機能(Einstein Analytics)による予測分析
活用イメージ– 営業担当が過去の商談や問い合わせ履歴を確認し効率的に営業- サポートチームが顧客問い合わせを一元管理- マーケティング部門が顧客データを分析してキャンペーン最適化

企業が顧客情報・商談状況・問い合わせ履歴などを一元管理し、営業・マーケティング・カスタマーサポート業務を効率化することを目的として使われることが多いです。

顧客データを基にしたレポートやダッシュボードで、営業成績やサポート状況を可視化できることにも強みがあります。

Zendesk

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Zendeskは、クラウド型のカスタマーサポート・チケット管理プラットフォームです。

項目内容
サービス名
Zendesk(ゼンデスク)
サービス種類クラウド型カスタマーサポートツール
提供形態クラウドサービス
主な機能チケット管理、マルチチャネルサポート(メール・チャット・電話・SNS)、自動化・ワークフロー管理、分析・レポート
特徴– 直感的な操作でサポート業務を効率化- 複数チャネルの問い合わせを一元管理- 自動化やテンプレートで業務効率向上- 分析機能で対応品質やチームパフォーマンスを可視化
活用イメージ– 顧客問い合わせをチケット化し、オペレーター間で共有- 問い合わせ内容や優先度に応じて担当者へ自動割り当て- 過去の問い合わせ履歴を確認し迅速に対応

顧客からの問い合わせを効率的に管理し、サポート業務の品質向上や迅速な対応を実現することを目的としています。

メール・チャット・電話・SNSなど複数チャネルの問い合わせを一元管理できるほか、問い合わせの履歴や優先度を一目で確認できるのがポイントです。

ServiceNow

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ServiceNowは、クラウド型のITサービス管理(ITSM)および業務プロセス管理プラットフォームです。

項目内容
サービス名
ServiceNow(サービスナウ)
サービス種類クラウド型ITサービス管理(ITSM)・業務プロセス管理プラットフォーム
提供形態クラウドサービス
主な機能インシデント管理、問題管理、変更管理、ワークフロー自動化、分析・レポート
特徴– ITサービス管理や業務プロセス改善に強み- クラウド上で統合された業務管理が可能- ワークフローや承認プロセスを自動化- 分析・レポート機能で運用状況や改善点を可視化
活用イメージ– ITヘルプデスクでの障害対応・インシデント管理- 社内申請や承認ワークフローの自動化- 過去のデータを分析して業務改善やリソース配分に活用

企業のIT運用や社内業務プロセスを効率化し、業務の自動化や可視化を実現することを目的に導入されることが多いです。

業務ニーズに応じてアプリケーションをカスタマイズすることもでき、業務プロセス管理などにもフレキシブルに対応します。

kintone

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kintoneは、クラウド型の業務アプリ作成・データベース管理プラットフォームです。

項目内容
サービス名
kintone(キントーン)
サービス種類クラウド型業務アプリ・データベース作成プラットフォーム
提供形態クラウドサービス
主な機能業務アプリ作成、データベース管理、ワークフロー管理、レポート作成、アクセス権管理
特徴– ノーコード・ローコードで業務アプリを簡単に作成可能- 社内業務や顧客情報の柔軟な管理に適している- ワークフローや承認プロセスを設定可能- データ分析やレポート作成で情報を可視化
活用イメージ– 顧客情報や案件管理を独自アプリで運用 社内申請や承認フローの管理- データを集計・分析して業務改善や意思決定に活用

プログラミングの知識がなくても、社内業務や顧客管理などに合わせたアプリを簡単に作成でき、業務効率化や情報共有を実現します。

ノーコード開発ツールとしても有名で、必要に応じてアプリや画面レイアウトを自由に変更しながら使うなど柔軟性が高いのが特徴です。

Amazon AppIntegrations

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Amazon AppIntegrationsは、AWSが提供するクラウドサービス間のデータ統合・連携プラットフォームです。

項目内容
サービス名Amazon AppIntegrations
サービス種類クラウドサービス間のデータ統合・連携プラットフォーム
提供形態クラウドサービス
主な機能クラウドアプリやAWSサービス間のデータ連携、イベントトリガー設定、ワークフロー自動化
特徴– AWSサービスや各種クラウドアプリを簡単に接続可能- ノーコードで連携フローを作成できる- データの同期や通知を自動化できる- 運用負荷を抑えつつ、サービス間の統合を実現
活用イメージ– Amazon Connectの通話データをCRMやサポートツールに自動連携- 異なるクラウドサービス間でのデータ同期- トリガーに応じた通知やワークフローを自動化

複数のクラウドアプリやAWSサービスをノーコードで接続し、データ同期やワークフロー自動化を簡単に実現できます。ログラミング知識がなくても、ドラッグ&ドロップでイベントトリガーやデータフローを作成できるのが特徴です。

Amazon Connect導入のメリット

ここでは、Amazon Connect導入のメリットを解説します。なぜ多くの企業がAmazon Connectを導入しているのか、理由を探ってみましょう。

小~中規模コールセンターに最適

Amazon Connectは、小規模から中規模のコールセンターで導入しやすい柔軟性とコスト効率が特徴です。

クラウド型なので必要な席数や機能に応じて柔軟に契約・利用でき、コストをカスタマイズできるのがポイントです。初期投資を抑えつつ、必要な機能だけを利用できるため、コスト効率が高いのもメリットです。

スケール対応で大規模にも強い

Amazon Connectはクラウドを活用しているため、小規模から大規模まで柔軟に対応できるスケーラビリティがあります。

コールセンターの規模が拡大してオペレーター数や同時通話数が増加しても、反対に規模を縮小して分散することが決まっても、プランを切り替えるだけで移行できます。

また、必要に応じてリソースを自動で調整できるため、繁忙期など急な問い合わせ増加にも迅速に対応できるのもメリットです。

Amazon Connect導入のデメリット

Amazon Connect導入には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。トラブルを防ぐためにも、事前にチェックしておきましょう。

AWS知識が必要

Amazon ConnectはAWSの基盤サービス上で動作しているため、ある程度のAWS知識が求められます。

例えば、通話録音の保存先としてAmazon S3を設定したり、通話データの分析にAmazon QuickSightやAmazon Kinesisを連携させたりする場合、AWSのサービス構成や権限管理の理解が必要です。

AWSに精通した担当者がいない場合、導入時に外部の専門家やコンサルタントのサポートを受けた方がいいかもしれません。

設計・設定が複雑になりがち

Amazon Connectは非常に柔軟なクラウド型コールセンターですが、その自由度ゆえに設計や設定が複雑になりやすい点がデメリットです。

例えば、IVR(音声自動応答)のフローを細かくカスタマイズしたり、スキルルーティングやキュー管理を複雑な条件で設定する場合、設定項目が多岐にわたります。

初心者には理解しづらく、全体の構成が複雑化しすぎてしまうことも。

導入時には運用フローを整理し、設計段階での計画を丁寧に行いましょう。

音声通話料金は別途必要

Amazon Connectでは、クラウド基盤や基本機能の利用料とは別に音声通話ごとの料金が発生します。

国内通話・国際通話の区別や、着信・発信の種類によって課金単価が異なるため、利用状況に応じてコストが変動する点に注意しましょう。

たとえば、ピーク時に多くのオペレーターが同時に通話を行う場合や、長時間の通話が頻繁に発生する場合は、通話料金が予想以上に膨らむこともあります。

月間の通話量や通話パターンを事前に見積もり、コスト管理を計画することが重要です。

Amazon Connectでコールセンターはどう変わる?

ここでは、Amazon Connectでコールセンターはどう変わるか解説します。

柔軟でスケーラブルな運用が可能になる

必要な席数や回線をオンライン上で簡単に増減できたり、繁忙期やピークタイムに合わせた運用ができるようになったり、柔軟でスケーラブルな運用が可能になります。

拠点の分散やリモートワークのオペレーターにも対応可能で、組織規模や運用形態に応じた柔軟な設計にできます。

また、AWSのクラウド基盤により、通話量やオペレーター稼働状況に応じてリソースを自動で調整できるので、煩雑な調整が要りません。

業務効率の向上と自動化が実現する

Amazon Connectを導入すると、コールセンター業務の効率化と自動化が大きく進みます。

問い合わせ内容に応じて自動で案内を行うIVRを設定したり、通話の録音や自動文字起こしを使ったりすることで、反復作業や単純業務を自動化できるのが特徴です。

結果、オペレーターは単純作業や反復作業から解放され、より付加価値の高い対応に集中できるようになります。

データ活用によるサービス改善が進む

Amazon Connectはデータ活用にも強く、サービス改善のヒントを得られます。

例えば通話録音や文字起こしを分析すれば、よくある問い合わせ内容やオペレーターの対応傾向を把握できます。

どのフローで待ち時間が発生しているか、どの問い合わせに時間がかかっているかをデータとして可視化できるため、改善ポイントが明確になります。

よくある質問

Amazon Connectに関する「よくある質問」を紹介します。

Amazon ConnectはCTIですか?

CTIではなく、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウド型のコンタクトセンターサービスです。

ただし、CTIと連携して実質的なCTIとして使うこともできます。

kintone連携はどう行う?

kintoneアプリ上にAmazon Connectの通話ウィジェットを埋め込みましょう。

また、ZapierやMakeなどの外部の連携ツールを使う方法もあります。

自動化・情報の一元化・オペレーターの業務効率化を実現したいときは、連携を検討してみましょう。

最小構成で導入できる?

Amazon Connectは最小構成でも導入可能です。

クラウド型サービスの特性上、物理的な設備を用意する必要がなく、必要最低限の機能だけでコールセンター運用を開始できます。

具体的には、着信対応するユーザー数分のオペレーターアカウントと、着信用に1つ以上の電話番号があれば導入できます。

まとめ

Amazon Connectは、顧客情報ポップアップや通話録音・文字起こしなど、便利な機能を活用できるクラウド型コンタクトセンターサービスです。Comdesk Leadでは、CTIとCRMを連携させることで、架電・受電の履歴を自動で顧客情報に紐づけて管理でき、インサイドセールスの生産性向上や商談化率の改善につながります。

CTIと連携し、柔軟でスケーラブルな運用スタイルを採用するなどして、利便性を上げていきましょう。

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この記事を書いた著者 Comdesk Editorial department

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