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2026.08.25

カスハラ対策義務化はいつから?企業の対応と電話業務での実務

2026年10月1日から、労働者を1人でも雇用するすべての事業主に、カスタマーハラスメント(カスハラ)への対策が法律上の義務になります。パワーハラスメント防止のために整えてきた社内体制を、顧客や取引先からのハラスメントにも広げる形の改正です。

「自社は対象になるのか」「何から手をつければよいのか」がまだ整理できていない企業は少なくありません。従業員数の少ない事業所や個人事業主も対象に含まれるため、規模を理由に様子見を続けられる制度ではない点は先に押さえておく必要があります。

なかでも電話でお客様対応を行う組織には、対面や書面のやり取り以上に固有の難しさがあります。声だけのやり取りは後から「言った・言わない」の水掛け論になりやすく、暴言や威圧的な要求があっても、それを客観的に示す手段が担当者の記憶やメモしか残らないことがあるためです。

カスハラ対策義務化とは|施行日・根拠法・対象事業者

いつから義務化されるのか

カスタマーハラスメント対策の措置義務が施行されるのは、2026年10月1日です。この日を境に、事業主には後述する複数の措置を講じることが法律上求められます。

根拠となる法律

根拠となるのは、改正労働施策総合推進法(2025年6月11日公布)です。これまでパワーハラスメント防止措置を定めていた同法の枠組みに、カスタマーハラスメント防止措置が新たに加えられました。パワハラ対策としてすでに相談体制や方針文書を整えている企業は、その枠組みを土台にカスハラ対応を組み込む形で準備を進めることになります。

対象になる事業者の範囲

対象になるのは、労働者を1人でも雇用する全事業主です。中小企業や個人事業主も対象に含まれ、規模による経過措置は設けられていません。従業員数が少ない、特定の業種ではないといった理由で対応を先送りできる制度ではないという点が、まず押さえておくべきポイントです。

カスハラとは何か|クレームとの違い

カスハラを構成する要素

厚生労働省の考え方では、カスタマーハラスメントは大きく2つの要素で判断されるとされます。顧客等の言動が社会通念上許容される範囲を超えていること、そしてその言動が労働者の就業環境を害していることです。

クレームとカスハラの線引き

現場で判断に迷うのは、正当なクレームとカスハラの境目です。顧客からの指摘や要求そのものが、即座にカスハラと判断されるわけではありません。判断の軸になるのは、要求の内容そのものに妥当性があるか、そしてその要求を伝える手段や態様が社会通念上相当かという2点です。要求の内容が妥当であっても、大声での威圧や長時間の拘束といった手段が伴えば、カスハラに該当し得ると考えられます。逆に、伝え方が穏当であっても要求の中身自体が明らかに過大であれば、同様に該当し得ます。実際の判断は個別の状況を総合的に見て行われるものであり、一律の基準で機械的に線引きできるものではないとされています。

企業が講ずべき措置義務の内容

事業主に求められる措置は、複数の一次情報系記事で共通して整理されている4本柱で捉えると実務に落としやすくなります。

方針の明確化と周知・啓発

まず求められるのが、カスタマーハラスメントに対する会社としての方針を明確にし、社内外へ周知することです。「カスタマーハラスメントは許容しない」という方針を文書化し、就業規則やマニュアルに落とし込んだうえで、社内掲示や研修を通じて従業員に伝え、必要に応じて顧客向けにも掲示するといった対応が想定されます。

相談対応体制の整備

次に求められるのが、被害を受けた従業員が相談できる窓口を整えることです。相談窓口の担当者を決め、相談を受けた際の対応フローを明文化し、誰が・どの段階で・どう対応するかを事前に決めておく必要があります。

発生時の迅速かつ適切な対応

実際にカスタマーハラスメントが発生した際は、迅速かつ適切に対応することが求められます。事実確認の手順、被害者への配慮、加害顧客への対応方針をあらかじめマニュアル化し、発生時の判断を現場任せにしない体制を作ることが実務上のポイントになります。

行為の抑止のための措置とプライバシー保護

行為を繰り返させないための抑止措置に加えて、相談した従業員のプライバシー保護と、相談したことを理由にした不利益取扱いの禁止も、措置義務の一部として求められています。相談窓口を設けても、相談内容が社内で広まったり、相談した従業員が不利益な扱いを受けたりするようでは、制度自体が機能しません。

対応しない場合のリスク|罰則と行政指導

措置義務に違反した場合について、直接の刑事罰を定める規定は設けられていません。ただし、対応を怠った事業主は行政指導や勧告の対象になり得るほか、悪質なケースでは企業名が公表される対象になり得るとされています。加えて、措置を講じずに従業員がカスタマーハラスメントによる被害を受けた場合、安全配慮義務違反として民事上の損害賠償責任を問われるリスクも指摘されています。

自治体レベルでは、東京都など一部の自治体が独自のカスタマーハラスメント防止条例を先行して施行しており、法律とは別の枠組みで事業者の努力義務等を定めています。法律が全国一律の最低限の措置義務を定めるのに対し、条例は自治体ごとの上乗せという役割分担にあると理解しておくと、両者を混同せずに済みます。

公的な支援策も一部の自治体で用意されています。例えば東京都では、カスタマーハラスメント防止対策に取り組む事業者向けに奨励金制度を設けており、録音・録画機器の導入などが対象に含まれる例があります。制度の有無や内容は都道府県ごとに異なるため、自社の所在地で使える制度がないか確認しておくとよいでしょう。

電話対応(コールセンター・インサイドセールス)特有のカスハラ対策

法改正の解説記事の多くは、相談窓口の設置やマニュアル整備といった組織的な措置を中心に扱っており、電話でのお客様対応という切り口にはあまり踏み込んでいません。しかし、コールセンターやインサイドセールスのように電話が主要な接点になっている組織では、対面や書面とは異なる難しさが実際に存在します。

受電時に何が起きているかを客観的に残す

電話は声だけのやり取りであるため、対面のように表情や状況を第三者が確認する手段がなく、書面のように文字として記録が残るわけでもありません。怒鳴り声や威圧的な言葉があったとしても、それを裏づけるものが担当者本人の記憶とメモしかない状態では、事後に事実関係を確認しようとしても「言った・言わない」の水掛け論になりやすくなります。通話の録音は、この状態を避けるための土台になります。録音そのものの法的な位置づけや相手方への告知の要否については、通話の秘密録音は法律上どう扱われるかで扱っています。録音した内容を人手で聞き直す負担を減らす方法としては、通話内容をAIで自動文字起こしする仕組みも参考になります。

悪質な行為かどうかを後から判断できるようにする

方針の明確化(前述の措置)を現場で機能させるには、その言動が許容範囲を超えているかどうかを担当者1人の主観だけで判断させない仕組みが必要です。担当者本人の記憶に頼った報告では、状況の切迫感や恐怖から、実際の言動より軽く伝わることも、逆に過大に伝わることもあり得ます。通話の記録が残っていれば、上長や相談窓口の担当者が実際のやり取りを確認したうえで、方針に照らして判断するという手順が取れます。判断を担当者個人の感じ方に委ねず、記録を共有材料にできることが、電話対応特有の実務上の要点です。

担当者を孤立させないエスカレーションの仕組み

進行中の通話で言動がエスカレートした場合、担当者が一人で抱え込まずに済む体制も欠かせません。上長やSV(スーパーバイザー)が異常な通話にすぐ気づいて介入できる体制があれば、担当者が耐え続けるしかない状況を避けられます。コールセンターにおけるSVの役割については、コールセンターSVの役割と価値で詳しく扱っています。録音を残すサービスそのものの選び方は、通話録音が重要な理由とサービスの選び方で比較しています

電話越しのカスハラを「記録」と「その場の支援」で支える

ここまで見てきた客観的な記録を残すこと、担当者を孤立させないエスカレーションという2つの課題は、いずれも担当者個人の意識や慣れに頼っていては安定して満たせません。記録とその場の支援を仕組みとして持つには何が要るかが、次の実務上の論点になります。

Comdesk Leadは、電話営業・インサイドセールス向けのクラウドCTIとして全通話自動録音を標準機能に持ちます。録音された通話は自動文字起こし(日本語特化のSTTで、辞書登録によって固有名詞にも対応)を経て自動要約(要約の内容はプロンプトを自由に編集可能)として記録されます。これにより、悪質な言動があった通話を後から探して事実確認する作業は、録音を頭から聞き直すものから、要約と記録を確認するものに変わります。

進行中の通話への対応は、モニタリングと**ささやき(ウィスパリング)**が支えます。SVは進行中の通話の状況をモニタリングで把握でき、担当者本人には聞こえない形で指示を伝えるウィスパリングによって、通話を止めずにその場で対応の方向づけができます。担当者が一人で判断を抱え込む前に、組織として介入できる状態を作れます。

カスタマーハラスメント対策における記録とその場の支援を仕組みとして整えたい場合は、Comdesk Leadの機能詳細を資料でご確認いただけます。
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2026年10月までに準備すべきこと

方針の策定と周知

まず着手すべきは、カスタマーハラスメントに対する会社としての方針を文書化することです。就業規則や社内規程への反映、社内掲示、従業員研修での周知までを含めて準備します。

相談窓口の設置

相談を受け付ける窓口を決め、担当者・受付方法・対応フローを明確にします。既存のハラスメント相談窓口がある場合は、対象にカスタマーハラスメントを追加する形で拡張できます。

対応マニュアルの整備

発生時の初期対応・事実確認・エスカレーションの手順をマニュアル化します。誰が一次対応し、どの段階で上長や相談窓口に引き継ぐかを事前に決めておくことで、現場の判断のばらつきを抑えられます。

研修の実施

方針とマニュアルを整えても、現場に伝わらなければ機能しません。管理職・現場担当者それぞれに向けた研修を実施し、実際の対応手順を共有します。

記録・報告の仕組みづくり

発生した事案を記録し、必要に応じて報告する仕組みを整えます。電話対応の記録体制がすでにある組織は、この工程の一部が前倒しで済んでいることになります。

よくある質問

中小企業や個人事業主も対象になりますか?

対象になります。労働者を1人でも雇用していれば、企業規模を問わず措置義務の対象です。経過措置は設けられていません。

カスハラの相談窓口は社内・社外どちらに設置すべきですか?

既存の相談窓口を活用する、外部の相談機関を利用するなど、自社の体制に応じて整備することになります。

取引先からのハラスメントも対象になりますか?

自社の状況がどこまで対象に含まれるかは、個別の事情によって判断が分かれる可能性があります。自社のケースが該当するかどうかは、専門家にご確認いただくことをおすすめします。

カスハラ対策は「決めて終わり」ではなく運用で効く

方針を定め、相談窓口を設け、マニュアルを整えても、実際の通話でどう記録し、どう介入するかという運用が伴わなければ、措置は書類の上だけのものになりかねません。電話対応の現場では特に、日々の通話の中でその運用を回し続けられるかが問われます。

Comdesk Leadは、携帯回線での発着信・全通話録音・発着信/切断制御について特許を取得しています。録音された通話は自動要約を経て、活動履歴自動生成により、通話の記録から活動履歴までが一連の流れとして残ります。録音・文字起こし・要約・活動履歴化が標準機能として1つのシステムに含まれていれば、カスタマーハラスメント対策のための記録体制を新たに個別開発する必要はなく、既存の架電業務の延長として、措置義務のうち記録に関わる部分を支える基盤にできます。

カスタマーハラスメント対策を含めた電話対応の運用体制を検討する際は、Comdesk Leadの機能一覧・導入実績を資料でご確認いただけます。
資料でわかること
  • 料金プラン・初期費用の詳細
  • 機能一覧・対応CRM/キャリア
  • 業種別の導入事例・改善数値
  • 導入の流れ・サポート体制

まとめ

  • 2026年10月1日から、労働者を1人でも雇用する全事業主にカスタマーハラスメント対策が法律上の義務になります(改正労働施策総合推進法。経過措置なし)
  • カスタマーハラスメントは、社会通念上許容される範囲を超える言動で、就業環境を害するものと整理されます。クレームそのものが即座にカスハラになるわけではなく、個別の状況で判断されます
  • 事業主に求められる措置は、方針の明確化・相談体制の整備・発生時の対応・行為の抑止という4本柱と、プライバシー保護・不利益取扱いの禁止です
  • 直接の刑事罰は無いものの、行政指導・勧告・企業名公表の対象になり得るほか、安全配慮義務違反による民事上のリスクも指摘されています
  • 電話対応の現場では、客観的な記録とエスカレーションの仕組みが、他のチャネル以上に対策の土台になります

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律相談に代わるものではありません。自社の対応を検討する際は、必要に応じて専門家にご確認ください。

この記事を書いた著者 田中 玲奈

Comdesk Lead /インサイドセールス

新卒から不動産会社でテレアポ・反響営業を3年経験後、株式会社Widsleyへ入社。現在はComdesk Leadを活用したインサイドセールス組織の立ち上げ・運用に従事。自社CTIを日次で使う立場から、架電効率・アポ率改善のノウハウを発信している。

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